そして、また絵

おせんべいを食べつつ、絵を抱え、男の子は気分上々でした。

この子の家はせんべい屋で、なんと10枚で1円なのです。

つまり、2銭で絵を買えたわけです。

(得したなぁ)

そう思いながら道を歩いていると、向こうから女の子が来ました。

ちょうど、中学生位です。

女の子は、絵に興味がありました。人の描いた絵を集めるのも大好きで、今日もいい絵がどこかに無いか探しにきているのでした。

そこに、とても力強いタッチの絵が見つかったからびっくり。

(まだ、デッサン状態だけど、とても価値があるわ・・)

そう思いました。

ポケットの中を探りました。1705円・・・

「あのー、その絵って、君が描いたの?」

「え、違うけど・・」

「ねえ、その絵、100円で売らない?」

「えっ、100円!」

この子はまだ小さい。それに比べて女の子はもう大きい。お金の価値観が違ったのです。

(2銭が、100円になるなら、99円8銭のとくだ。)

そう思った男の子は、女の子に絵を売りました。

(とくした、とくした。)

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