夢見た小学生の断片集

柳なつき

昔、ある時ある所。(小四/小説)

昔、ある時ある所。

暇だったその小さな男の子は、鉛筆で毛羽立った紙に絵を描いていました。

本当は男の子は「くれよん」が欲しいんですが、この子の家はとても貧乏なので、「くれよん」を買えません。

鉛筆だって、誕生日に必死で頼んで一本だけ買ってもらったのです。

紙なんか買う余裕は無いので、木くずを拾って一から紙を作っているのです。

その男の子は、こういう絵を描きました。

太陽が照り付け、花々が沢山咲いて、木は美味しそうな実をつけ、

動物も昆虫も植物も人間も、そして自然も幸せそうな絵。

線はぐしゃぐしゃでしたが、その絵からは何かを感じました。

何と言うか、元気付けられるような、自然をそっくり写したような――

男の子自身もその絵にすっかり満足して、絵を抱えて遊びに行きました。

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