リラという名の女の子

勝利だギューちゃん

第1話

青空を見上げる。

1人の少女の顔が浮かぶ。

優しく僕に、微笑みかけている。


「もう、随分経つな・・・」

ふと想う。

その少女の事を・・・


断っておくが、その少女は生きている。

間違っても、亡き恋人を想っての事ではないので、念のため・・・


いつも、神出鬼没で現れては、去っていく・・・

でも、最近は来ない。

となると、寂しいものだ・・・


召喚してみようか・・・


「おーい。リラ。こっちへ来い」

心の中で、叫んでも来るはずがないが・・・


「呼んだ?」

目の前に、その少女が現れる。


「はーい。元気だった?」

「うわー、出た!!!!」

「何よ、人をオバケみたいに・・・

自分で呼びよせておいて、失礼な・・・」


そうでした・・・


「ところで、拓、何のよう?」


言い忘れていたが、僕の名前は板倉拓という。


少女は、リラ。

見た目は、普通の女の子だが、人間ではない。


女神さまらしい・・・


「しばらく、会っていなかったから、顔見たくなって・・・」

「寂しかったんだ。私に会えなくて・・・」

「うん」

「素直でよろしい。かわいいね、拓」


かわいいは、女の口癖。

あまり、信用してはいけない。

いけないのだが、悪い気はしない。


男は、悲しいな・・・


「最近、私たちもあわただしくてね」

「忙しいとはいわないんだ」

「うん、忙しいは、『心を亡くす』と書くから、使わないようにしてるんだ」


リラと出会ったのは、僕がまだ小さい頃。

信号無視をした、車にはねられて、生死をさまよった。


その時に、リラが助けてくれた。

「君はまだ、来てはいけない」と・・・


その時以来、こうして時々、ご機嫌伺いに来てくれる。

神様なので、本来なら敬語で対応するべきなのだろうが、リラに拒まれた。


「私も、女神だけど、見た目は普通の女の子だからね。

たまには、人間の女の子らしいことを、したいんだ」

わかる気がするが・・・


でも、どうして僕なんだ?


「拓もいつか、本当に私のところへ来るからね。

その時のための、下準備」


決まっているのか?

僕の行き先。


「まあ、せっかく私を召喚したんだから、責任取ってよね」

「責任って?」


腕をからませてくる。


「さあ、行こう。発進!」


リラとのデート。

僕の最大にして、一番の憩いの一時だ。


さてと・・・

どんな日記がかけるかな・・・

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リラという名の女の子 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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