第34話 取り戻す、自分を

「いでよ! 秋葉原神!」

 望たちは、神田の隣の末広町にたどり着いた。そして、あの神の名を呼ぶ。

「はあ・・・はあ・・・やっと着いた。末広町。」

「もう駄目・・・走れない・・・はあ・・・はあ・・・。」

 望と希は、走りながら、さまよえる三越前人レベル50、さまよえる神田人レベル75、さまよえる末広町人レベル100の攻撃を避けながら、ボロボロになりながら目的の地にたどり着いたのだ。

「よく来た。勇者よ。」

 神々しい光を放ちながら、秋葉原神が現れる。

「秋葉原神! 僕たちの第1次試験のデータを引き継がせてくれ!」

「いいのか? 試験ごとにレベル1にしないで、データ引継ぎをできるようにしてしまうと、レベル10000とかの化け物が登場することになりかねないぞ?」

 秋葉原神は、今後の心配をする。

「構わない! 今の僕たちには、目の前のことを突破することだけを考える!」

 しかし若い望は、今、そこにある危機だけしか目に見えなかった。

「分かりました。あなたたちのデータを修正しましょう。」

「ありがとうございます! 秋葉原神!」

 こうして望と希のレベルは、LAWS国家試験第1次試験のレベル500にあがった。

「おお! 力が漲ってきたー!」

「これなら、いけるわー!」

 望と希の疲れも絶望も取り払われ、体力も前回になった。

「帰りは、東京メトロ銀座線に乗って、三越前駅まで帰りなさい。少しは時間の短縮になるでしょう。」

「ありがとう! 秋葉原神!」

 望たちは、駅の入り口の地下道に入って行くのだった。


「くおーーーーーーー!? レベル500になっちゃった!?」

 LAWS国家試験の試験管たちの予想外の出来事が起こった。

「なんなんだ!? あの秋葉原神は!?」

「どこのプログラムを調べても、神のデータなんてないわよ!?」

「完全なイレギュラーです。ニコッ。」

「LAWSのシステムが何者かにハッキングされているというのか!?」

 LAWS国家試験の雲行きが怪しくなっていた。


「三越前駅! 突破!」

 望たちは、さまよえる三越前人レベル50を倒した。

「やっぱりレベル500だと余裕だね。」

「遅れた分を、取り戻すわよ!」

「おお!」

「電車に乗ろう! 次の駅へ行こう!」

 望たちは、電車に乗って次の駅へ向かう。

 LAWS国家試験2次が開始して、14時間。残り5時間。現在、19時。現在、12個目の三越前駅を突破。残り7駅であった。

 つづく。

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