第31話 嫉妬

「新橋駅! 突破!」

 望たちは、さまよえる新橋人レベル15を倒した。

「次の駅へいこう! 電車に乗ろう!」

「またね! 駅娘!」

「がんばってくださいー!」

「ありがとうー!」

 望たちは駅娘に見送られて、黄色い電車に乗り、次の駅を目指すのだった。


「銀座駅! 突破!」

 望たちは、さまよえる銀座人レベル17を倒した。

「次の駅へいこう! 電車に乗ろう!」

「またね! 駅娘!」

「応援してますー!」

「ありがとうー!」

 望たちは駅娘に見送られて、黄色い電車に乗り、次の駅を目指すのだった。


「京橋駅! 突破!」

 望たちは、さまよえる京橋人レベル19を倒した。

「次の駅へいこう! 電車に乗ろう!」

「またね! 駅娘!」

「これでいいんでしょうか?」

「これでいいのだ。」

 望たちは駅娘に見送られて、黄色い電車に乗り、次の駅を目指すのだった。

 LAWS国家試験2次が開始して、10時間。残り9時間。現在、15時。現在、10個目の京橋駅を突破。残り9駅であった。


「楽勝! 楽勝! この調子なら、銀座線クエストは簡単に突破できそうだな!」

「遅れを取り戻したわよ! 残り9時間で、9駅! これなら試験の合格も見えてきたわね!」

 望と希は、LAWS国家試験に余裕で合格できそうなので、気持ちが緩んできた。

「日本橋に着いたら、百貨店に行きましょうよ。」

「そうだな。僕もトイレに行きたいし。」

 LAWS国家試験の最中なのに浮かれている望と希を見つめる視線が2つあった。

「ジーッ。」

 JRSの目覚ましとホープである。


「怪しからん! 神聖な試験の最中に、カンニングだと!」

 目覚ましとホープを遠隔操作して、楽しんでいる望と希の映像を見ているLAWS国家試験の試験管たちがいた。

「これでは試験ではなく、ただのデートではないか!?」

「許せない! 私には彼氏がいないのに!」

「そうだ! そうだ! AIの恐ろしさを思い知らせてやる!」

「こいつらは死刑でいいでしょう。ポチットな。ニコッ。」

 LAWS国家試験のプログラミングが、イージから、ハードに書き換えられる。


「着きました! 日本橋! ヒーハー!」

 望たちは日本橋駅に着いた。

「大変です!? 皆さん!?」

 なぜか日本橋の駅娘が慌てている。

「どうしたの?」

「実は、さっきまでレベル21だった、さまよえる日本橋人のレベルが、一気にレベル35まで上がっています!?」

「なんだって!?」

 カップルでイチャイチャする望と希に嫉妬したLAWS国家試験の試験管たち。風雲急を告げる展開に突入した。

 つづく。

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