第22話 試験結果

「渋谷の人食いハチ公レベル1000は化け物か!?」

「どうやって倒せばいいの!? もう2分しか残ってない!?」

 山手線を一周して渋谷駅に帰ってきた望たち。

「ガオー!!!」

 待ち構えるは、本試験のラスボス、人食いハチ公レベル1000であった。今の所、今回のLAWS国家試験の合格者はいない。それどころか受験者の大量物量作戦のために1万人以上の多くの犠牲者を出してしまった。

「希! 死ぬ前に言いたいことがある! 希、好きだ! 僕と付き合ってくれ!」

 望が真剣な表情で告白する。

「ええー!?」

 突然の愛の告白に驚く希。

「私たちは付き合っていたんじゃないの?」

「え?」

 予想外の展開に、意表を突かれた望。

「5歳の幼稚園の時にあなたから「希ちゃん好きです! 僕と付き合ってください! 将来は結婚してください! 僕のお嫁さんになってください!」って言われたから、私は、ずっと、あなたのフィアンセだと思っていたんだけど?」

 望、5歳の若気の至りである。 

「そういえば、言ったような気がする。」

 すっかり忘れていた望。

「酷いー!? まさか忘れていたの!? 最低ー!? 乙女心を弄んだのね!?」

「覚えてる!? 覚えてる!? 希は僕の婚約者だー!!!」

 望は、婚約者を手に入れた。最初から望は、LAWS国家試験に合格したら、希に愛を告白するつもりだったことにしておこう。

「お二人さん!? あと1分しか時間がありませんよ!?」

「黙れ! 目覚まし! 男女の色恋沙汰にスマホが口を挟んでるんじゃねえー!!!」

「ギャアアアー!?」

 望は、口うるさいJRSドリームの目覚ましを放り投げた。

「ガオー!?」

 目覚ましは、渋谷の人食いハチ公レベル1000に命中し、断末魔の叫び声をあげて、倒れた。

「マジか!?」

「多くの戦死者たちが、人食いハチ公に攻撃を食わえていたから、敵もHPが残りわずかで少なかったのね。」

「友よ! 君たちの死は無駄ではない! 無駄ではないのだよー!!!」 

 猛烈に感動した望たちは、渋谷の人食いハチ公レベル1000を倒した。

「あれ? 言わなかったけ、渋谷の人食いハチ公レベル1000はJRSを投げつけると倒せる寄って?」

「言ってません。」

「アッハハハハ。」

 苺先生が現れた。

「望くん! 希ちゃん! LAWS国家試験の一次に合格です!」

「やったー! って、一次?」

「あれ? 言ってなかったっけ?」

「言ってません!!!」

 望と希は、LAWS国家試験の一次に合格した。

「夢と希望は何よりも大切だ! 奇跡は祈るものじゃない! 奇跡は自分で起こすものだ!」

 望たちの冒険は、まだまだつづく。

 つづく。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る