第20話 残り1時間

「五反田! 突破! 目黒! 突破! 恵比寿! 突破! でいいんじゃないか?」

「それをやっちゃうと、各駅の駅娘が登場できない。各駅のさまよえる住民を倒せないからダメなのよ。」

「なんじゃそれ?」

 望たちは、アホな会話をしながら、さまよえる五反田人レベル250を倒した。

「おめどとうございます! 記念に五反田の商店街で使えるクーポン券を差し上げます。」

「要りません!」

 五反田の駅娘の甘い言葉に惑わされずに望たちは電車に飛び乗る。 

 残り時間は、タイムリミットまで50分。


「いらっしゃいませ! 今なら目黒ガチャが無料で引けるクーポンを1枚差し上げてます!」

「いただきます!」

 望たちは、目黒の駅娘の甘い言葉に誘われてしまった。

「駅ガチャを回すぞ!」

「おお!」

「何をしているんだ!? 駅ガチャを回すより、早く目黒のクエストを倒さないと!?」

「そんなもの知るか!? プレイヤーたるもの、宝箱が人食い宝箱だと分かっていても、開けるのが勇者だ!」

 望と希は、ガチャを回したい衝動に負けた。望はガチャを回した。

「なんだ!? これは!? 光の目黒玉!?」

 ガチャの中身は、ただの光っている目玉だった。

「ガオー! 俺様は、さまよえるスーパー目黒人レベル300だ!」

 望たちの前にさまよえる超目黒人レベル300が現れた。

「遂にレベル300越えか!? 手強そうだ!?」

「きっと大丈夫よ! さっきの光の目黒玉を奴に投げてみましょう!」

「おお! そうだな! 何かの役に立つかもしれない! えい!」

 望は、光の目黒玉をさまよえる超目黒人に投げつけた。

「ま、眩しい!? 前が見えない!?」

「今だ!」

 光が眩しくて前が見えなくなったさまよえる超目黒人。一瞬の隙に斬りかかる望と希。

「ギャアアアー!? やられた!?」

 さまよえる超目黒人を倒した。

「つまらない所で時間を費やしてしまった。」

「急いで次の恵比寿に向かいましょう。」

「おお!」

 望たちは目黒を後にして、恵比寿へ向かうのであった。

「気分は、RPGゲームの勇者だな。」

 望は、楽しんでいた。

 残り時間は、タイムリミットまで、30分。

 LAWS国家試験、開始から28時間30分経過の13時30分。望たちは、現在27個目の目黒駅を突破。残り時間は30分で2個の駅を突破しなければいけない。


 その頃、渋谷のハチ公広場。

「怯むなー!!! 全員突撃ー!!!」

「おおおー!!!」

「ガオー!!!!!」

 LAWS国家試験の受験者の先頭集団約1万人が、渋谷の大魔王ハチ公レベル1000に戦いを挑んでいた。 

 つづく。

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