最強の先輩現る!

「おっはよー!けいとお兄ちゃん!!」

「あれ?なんで供子がいるんだ?今日は月曜日だぞ?」

「ともこの学校もこっちなの!!だから一緒にいこうよー!」

「ああ、別にいいよ、あとちょっとしたあいつらも…」

「蛍斗ー!おっはー!」

「蛍斗君おはよー」

「あ、来た。おはよーじゃあ行くか」

 「なんでともちゃんもいるのー?」

 「それはねー?……」


 学校に着くと何やら靴箱前で揉めているのが見えた…


「おいてめー女のくせに強がりやがって。生意気なんだよ!あ?」

 「別に、強がってはない。わしは普通に強いだけじゃ。」

「あ?じゃあ勝負すっか?女だからって手加減しねーぞ?おい!」


 なんだなんだ…?喧嘩…?と言うよりいじめ?男子が女子をいじめてる…?

 助けるか…?いや待て、あれ先輩だな…多分、三年生だ。俺が首突っ込んだら…

 なんかやばいことになりそう…だな…どうするか。


「蛍斗君…あれ、止めようよ!」

「蛍斗。あれ、うちたちが首突っ込んでいい相手じゃないよ。…」

 「え…?どういうことだ?先輩だからか?」

「いや、それもなくはないけど…あの女子の先輩…」

「うん」

 「剣道や武術の名門家だよ…。名前は確か…『帯刀怜(たてわきれい)』だ。」

「…っえ。桃乃ちゃん、帯刀怜って。剣道界の三年連続チャンピョンだよね…?」

「そう。だから…助けに行ったところで意味がない。」

「そう…なのか。」

「しかもみて帯刀先輩の右手」

 「っ!?あれは…竹刀か…⁉」

「見てればわかるけど。あの男子の先輩…負けるよ。」


「んあぁ⁉このクソ女があぁ‼‼」


―――次の瞬間…俺は、目に物を見た―――


男子の先輩が殴り掛かった時、帯刀先輩の姿が消え。


男子の先輩が「消えたっ⁉」と、口に出した瞬間、突如後ろに現れそこから。


帯刀先輩が振り返ったと思ったら。もう男子の先輩は倒れていた。



 「………っ⁉ い、一体なにが起こったんだ?」

「でた、あれが、帯刀先輩の必殺技だ。相手の前から姿を消し、油断を見せた時に

 相手の後ろに現れた瞬間相手はもうノックアウトされてるって技…。」

「す、すごい…あれが帯刀先輩の技なのか…」

「でもね一部の噂なんだけど帯刀先輩ってあまりにも強すぎるから人から女扱いさ

 れないんだってー。」

「へえ、そうなんだ、あんなにきょに…んっん″ん″ん」

 「蛍斗君?今なんだって?」

「いやなにも?あはははは(棒)」

「てか!蛍斗!初ちゃん!授業始まるよ…?やばくない?」

「…!?やばい!急ごう!!」

「そ、そうだね!!!」


三人はなんとか一時間目の授業に間に合った。



「澪月さん。渡したいものがあるから昼休みわたしのところへ来なさい」

「先生、職員室ですか?」

「ああそうだ」

「わかりました」


なんだろ…まあ昼休みになったら行くか。


――そして昼休み――


さて行くか…


階段を降りようと廊下を曲がったときに「ドンッ」とぶつかり二人とも尻もちをつ

いた。


「んっ、いってぇー…あ、すみませ…」

ええ!?この人確か。朝 桃乃が言ってた、帯刀 怜先輩じゃない⁉


「わしこそすまんこっちの不注意だった許してくれ」

「いえ、僕の方こそごめんなさい。あ、それ。」


帯刀先輩の膝が転んだように擦り剝けて血が出ていた。


「ん?あーこんなの大したことじゃない」

「今、ケガしたんですか…!?」

「いや、これは、さっき体育の授業で単純に転んでしまってな、少しヒリヒリする

 が我慢できる。」

「ダメですよ!我慢しちゃ!すぐ保健室行きましょ?その傷口から黴菌が入るかも

 しれません!!消毒しないと!」

「大丈夫 大丈夫っわしの身体なんて黴菌が入っても何ともないから」

「ダメです!自分の身体は大切にしないと!女の子なんですから!今すぐ保健室行

 きましょう!なんなら僕がついていきますよ!」

「((この子…今わしの事を…女扱いしてくれたのか?))あ、ああじゃあ頼む」

「はい!行きましょう!帯刀先輩!」

「((わ、わしの事しってくれてるのか⁉))」


やべぇ、勢いで保健室ついてきたけど…先生に呼び出されてるの、どうしよう…。


 「失礼します、保健室の先生いますか?あれ…いないな。」

「保健室の先生いないんですか?」

「うん、いないみたいだ。さてどうしたもんかね…」

「帯刀先輩、僕にまかせてください!消毒と絆創膏くらいなら全然やります!」

「っえ…‼ ほ、ほんとか…?」

「はい!じゃあ、ここのソファー座ってください」

「あ、うん、わかった。」

 「足…見せてください?」

「う…うん。」

「いったん消毒しますね」

「や、優しく頼むぞ」

「はい」

 「…痛っ‼」

「あ、すみませんっ」

「大丈夫大丈夫。あはは。((男子の前で痛いとか言っちゃった))」

「絆創膏、貼りますね…」

「あっうんっ((なんでわし、可愛い子ぶってるんだ!))」

「よしっこれでいいですよ?」

「あ、ありがとう。あ、あの君の名前は…?」

 「ああすみません!自己紹介が遅くなって!僕は澪月蛍斗 二年生です!」

 「澪月……蛍斗……か。」

「帯刀先輩?」

「んっ?あ、ああ!なんでもないんだ!あ、あとわしの事は怜って呼び捨てにして

 いいぞ」

 「いやいや!先輩に向かって呼び捨てなんて!せめて怜先輩で!!」

「お、おう。わかったじゃ、じゃあわしはなんて呼べばいいのか?」

「別になんでもいいですよ?みんなから言われてるのは蛍斗、蛍斗君、とかですか

 ね?」

「な、なるほど。((わしだけのあだ名で呼びたい…))」

「はいっ」

 「じゃあ、け…いくん…。あ、すまん!今のは忘れてくれ!これで呼べたらいい

  なと思っただけで…特に深い意味はない!」

「はい!いいですよ?」

「……っえ?」

「けいくんって呼んで下さい!怜先輩っ!」

「は、はいっ!!」


――こうして最強の怜先輩の初恋が始まったのであった――

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