繰り返されない、再生への道

桜咲こゆり

第1話

ずっと私は1人


昔から居場所なんてなくていじめられていた


親に見えにくいところに虐待をうけ


傷がバレると


「公園で怪我したの…」


って言わせられてた


助けてって言いたかった


けど私は見捨てられてしまうのが怖かった


また痛いのが来ることが怖かった


生きる綱がなくなるのが怖かった


幼い私がなぜそうだと知ってるのはわからない


けどそう思った


何かを知っているかもしれないけどわからなかった


いつかのある日に私は逃げるように出かけた


行く場所なんてわからないからとにかく歩いた


でも途中から導かれるように山に歩いていた


気づいた時には古い祠の前にいた


存在するわけない場所


謎の好奇心に溢れて祠に触れた


そして急に光に包まれた


そして優しくともどこか聞いたことがある声が聞こえた


あなたの願いは何か


私は考えた


けど考えが行き着く前に言葉に出ていた


傷のつかない体に、死なない体にして


そしたら体が光に包まれてゆきあっというまに全て包まれた


眩しくて目をつぶっていた


空気が軽くなりとても静かだった


風が頬を撫でた


小鳥が語るように小さく鳴いている


目を開けると包まれる前の場所だった


でも変わっていたのはその古い祠が崩れていた


私はその時まではそれだけかと思った


嫌だけど帰ろう


次の日昨日のことにまだ怒っている親にお腹を殴られた

アザができるくらい何度も、何度も殴られた


痛いよ…やめてよぉ…


口にはしないけどそう言いたかった

でも私のお腹に変化があった

何か暖かいものが触れたと思ったらお腹のアザが消えていた

最初は神様が助けてくれたと思った

でもそんなものじゃなかった

その日の夜も朝以上に殴られた

でもまた数分後にはまた消えていた

バレてはいけないと思ったが無理だと思った

親はすぐそれに気づいてどんどん過激になっていった

学校でバレないようにしたがこの話はあっという間に広がっていった

小学生中学年の時には男子、女子に伝わり嫌がらせが起きるようになってきた

化け物とも影で言われるようになった

毎日何かしら嫌がらせばっか起きるようになっていった

卒業近くにはみんなに知られていて皆に無視される生活になった

けど別によかった

だって元々居場所なんてなかったから

それがさらに増えただけ

だから中学もそうなるとわかってる

ただ1人で学校生活を送っていくんだって思ってた

けど1人だけ

たった一人だけ

私と同じような子が話しかけてきた

最初の頃は拙い感じだったけど徐々に話すようになった

けどすぐに突き落とされた

その子がちょっと来てって呼んできた

いつもなら行かないけど何故か行ってしまった

そしたら急に殴られて意識が吹き飛んだ

目を覚ました時には手足を縛られ服がボロボロになりその下には血が飛んでいた

そのあとはひたすら殴なれ叩かれて最後には身ぐるみを全て剥がされた

このままでは私は私でいられなくなるだろう

自分の意識を手放す直前、急にサイレンが近づいてきた

殴ってたヤツらは逃げようとしたら出入口はすでに包囲してた

私は保護された

でもやはり傷はない

当然怪しまれた

病院で隅から隅まで調べられた

けど異常が何もなかった

原因不明だったため何事もなかったことのように返された

それでも親から殴られ学校でもいじめられる日々は続く

話しかけてきた子も転校していた

いつの間にか自分で自分を傷つけるようになっていった

最初はちょっとだけと思ってだった

けどどんどん大きく、深く、過激なっていく

酷い時には切断しようとまでしていた

ストレスが酷いと過激になる

惨めだとわかっててもやる

全て傷が治るから尚更だった

治るというより再生と言えるようなものだった

どんどん過激になる中、ようやく卒業した

高校はいいと思ったけど生活を繋ぐために

いつのまにか離婚した親と実質的に縁を切りバイトで生活を切り繋いだ

過去を偽り自分を偽って生活した

生きるのに必死になっていた

生きるために自分を捨てた

でも必ず自分を傷つけていた

しないとダメになっていた

痛みがないわけではない

傷をつけると同時に快感があった

それが卒業近くまでまた続いた

でも1日だけ学校を休んだ

前日のバイトでミスを起こして迷惑をかけた

それで自分に嫌味がさして休んでひたすら傷つけた

ご飯も食べずにやっていた

夕方になっても続けた

周りに聞こえないように泣いて、傷つけ、治って、また傷つけた

夜になって落ち着きかけた時にきっかけは突然起きた

まだ傷が戻ってない中泣きを抑えつつ部屋に戻ろうとした

そしたら急にチャイムがなった

誰にも教えてないはずの家のチャイムがなった

その時の私は頭のネジが壊れていて普通にどうぞって言ってしまった

その入ってきた人はクラスでも人気の男子だった

接点なんてなかったはずなのに

むしろ私のようなタイプの人を嫌っているような

彼は私を見た瞬間走り寄ってきた

まだ治っていないとこを見て慌てて服を脱いで応急処置しようとした

思わず

私に触るな!

って言ってしまった

心配してくれる人は初めてで嬉しかったのに

けど彼はそれでもダメって言って血を拭いて急いで近くのコンビニに走ってガーゼなどを買ってきて処置してくれた

本当はその時には再生をコントロール出来るまでなってきていた

だけどコントロールして再生しないようにした

今でもなぜそうしたかはわからない

初めて優しさを目の前で感じたからかもしれない

その時のことだけは一生忘れなかった

その日の後彼は毎日私の家にきて今日の授業ことなどを話に来るようになった

最初は頷いたりだけと軽く返していた

けど私もいつの間にか打ち解けていた

あの日以来私は学校にすら行っていなかった

けど勇気を出して学校にも行き始めた

毎日を彼と過ごしながら空気のように過ごした

卒業した後になっても変わらずいつの間にか一緒に暮らしていた

付き合うわけでもなく生活のために

とにかく生きるために

ただそれだけで一緒にいた

再生のことは隠していた

知られたら昔のように

あの地獄のような死ぬ以上に辛いあの日々に

コントロールしてバレないように少しだけ早く

バレてないところはすぐに治した

けどそんな日々は続くわけがなかった

続かせることはしたくなかった

いつとは言えないがお互い好意をもっているのは明白だった

毎日ほとんど同じ時間に起きて朝食をとって

お互いに違う仕事場に向かって先に仕事が終わった人が買い物をして

夜も一緒にご飯食べて同じ部屋で寝る

一日の大体を同じ場所で過ごしているのだ

好意を持たないのは逆に大変ではなかろうか

だから私からバラした

相手が知って疑問を持つ前に

もう一人でいたくないから

過去の私のことも、全て話した

私は親にも、同級生の男子にも暴力を受けていたと

私はどんな傷も再生する化け物なんだと

だから私はもうダメだって

自分が制御できなくなって

自分で体を傷つけて

泣いて

叫んで

助けて欲しいって

ただとにかく言いたいことを全て言った

彼は全て聞いてくれた

何も言わず

ただしっかりと


落ち着いた?


私が少し間を開けた時に彼は聞いた

落ち着いていはいなかったが頷いた

そしたら急に抱きしめられた


大丈夫

あの時から覚悟してた

重い悩みを抱え込んでいことを

それでも助けたいと思ったから

だから今ここに居るって

話してくれてありがとう


心から泣いた

一晩中泣いた

ここまで優しさが気持ちいいと

受け入れてくれたこと

それから程なくして結婚した

でも子供はいらないって決めた

子供にこれが遺伝してはいけないと考えたらからだ

彼もわかってくれた

今まで通りに暮らした

互いに働いて生活した

40後半に貯めたお金で森の方に引っ越した

静かに暮らすために必要なものだけを買い自家栽培などで生活していた

極力自然のものを使い街には降りないようにした

その後79で彼は死んだ

私の膝で眠るように死んだ

私は若い時のままの顔と体である

これが呪いだと知った

死にたくても死ねない

死ねるのはこの魂だけで肉体は死ねないのだと

私は魂が消えていくのを生きて待った

何があってもいいように生きて待った

この体は残るから呪いを封印する神社のようなものを作った

作らないといけないと思ったから

数えて192で魂が消えかけてるのを感じた

そう思って作ったものの中で待とうと思った時にすっと抜けていった

静かな森で1人

この森を守り続けた

彼との居場所を

そして彼と私は小さな神社で祀られてる


人じゃない人を守り愛した人と200年生きた1人の人を好きで居続けた証の神社を




私を助けてくれてありがとう

私はあなたと一緒にいれて幸せでした

次、呪いなく会えたら

またあの場所で一緒に暮らそう?

私が先でも後でも

ずっと待ってます

………

……




あら、あなた…やってきたのね


その声は、あの祠で私に呪いをかけた主?


呪い…ね、


呪いじゃないの?やっぱり?


気づいてたのか?


なんとなくだけど、制御できるようになった時には


なら話は早いわ、その力で…あの×××を起こさないでほしい

いまから見せる映像でわかるはずだから






一年に一度、この神社では御神体を清める「天清祭」がある

外では大賑わいで祝われているが境内はとても静かである

清めを行う人も限られており地主の者が一人見守り、その地に住まう満10から15の女の天清者てんせいしゃが行う

選ばれたものはこの一生、大きな病にかからなくなるとされ実際に小さき病あれども大きな病にはなってはいない

正月にそのものが選ばれ翌日に通達が行き届く

そしてこの天清祭がある3月15日までにご神体を清める鍛錬が行われる



では、天清の儀を始める


ここからは話してはいけない

私は最後に御神体を拭き上げる係であるため最初はお手伝いをする

順調に服を脱がし体を軽く拭き湯につける、湯から上げるところが行われる

私の役がくる

「…」

ゆっくりと傷つけないようにする

上からゆっくり拭いていき最後の足を拭いていく

しかしここで私はミスをしてしまった

御神体に触れてしまった

その時周りが真っ白になった

音が聞こえなくなる

感覚がなくなる

いしきがなくな…

……


「大丈夫!?」

見慣れない声が聞こえる

空気も違う

さっきいたはずの場所ではない

「これは…私?」

どう見てもわたしだ

「言ってた話はそうなのか」

周りがいろいろ騒いでるが今はそれよりも

「私がいた世界じゃないのは確かなはず」

あの時いわれた通り目の前の私の頭に触れる

いままでの記憶が体に入ってく

「しかたないね、もう少し遅くなっちゃうけど、私の力が役に立つなら」


「彼がしたことのように、人を信じて救っていこうか」

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繰り返されない、再生への道 桜咲こゆり @sakurazakikoyuri

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