途の硲(ミチノサマ

落ちた種子に涙を注ぎ込み、密やかに膝を折る。

ひびわれの地は 琴の穂か 柔らかな過去を歩ませり


歌声と揮う、ざまざまの、

綿毛の行く先を決めるものは誰とでもなく

崩れたこの牙城に選って入っても、降灰は生さず

その光、足元に嵩と盛り、雑草を際立たせる。


何もかも平凡で逆さまで、狂っても、愛しているもの


ため息にあまつゆの雫を清きものとする

濡れ美微子の後れ毛もさながら、

唯の影とも遊ぶ理解不能なイカサマ、


逆撫で声で端役を惹きつける芥も味に変容する風潮が

垣間見せる視点と基点を結ぶ、沢山の幽体を錆き糸に通し

やつとこ、組み敷いた川面に浮いている ありあわせの脂


奇跡はいつごろに盤面を動かすのか、

待ち草臥れもせず、仰ぎ見る争点。

身じろぎもせず、彩もない、この手ひらはオルゴールとも

骨太ではあるが、見渡す限りは暗い海だ。

ぎこちなくさんざめくばかりで、

破れかぶれの障子に伝染る、霊魂であろう

そうであろう、と腹を括る。


決して掬えない悪、表裏一体、ヱ掻いている者

書き毟ったその譜面は白黒の身に酔って、

私達に魂は垣間見せることはあっても

とっくに死んでいるのだから裏表は見せず、

痛くも痒くも有りはしない。

けれどこの胸を甚く

未来を切り開く、腹を割るのも悪くはないと

何処までも出会うことのない過去と未来を繋ぐのだと無心に綴る

廃色の空の下で踊り明かす朱のヒヨドリは知ってるか


どこにも、誰にも、愛されない語り部は、誰も見えず聞こえず

生まれては死んでゆく 戯曲に過ぎない[このざま]を結う

そこには何もなかった。[空底の水晶体]眼差しは絣もしない

折られていく時代の垢と玄、点状と祖の内側に煌めく


地平線は今に、地を抉る。


花は咲き乱れ声色は天を鼓する 雲雀たちと向かう

そぞろかに 紅葉と散っていく、雑木林に左右去る、

さて、あなたの後ろの正面、

そぞろ ついてゆく先々、安堵とも未知に惑った


仰ぎ見る樹木の裏墨に浸された光と影は 私を擁き混む

今、あんたも私もどんなツラしてるんだか。

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