102.証明、しるべ。

松の葉をまつげと見立て

光に刺され段差を踏み外す

転げたマツボックリ

ああ、しんだ。

焼き払われた僕は

抉り取られた君は

明日もいる。


「証明」


ばりばりとすきっぱでかみ砕く。酸いも甘いも腹の中で嗤えばいいのさ。己の糧に成り下がるおまえさまは童の餌であったというに ひょんなことで普通に出逢い恋をした物騙りであるから事実は小説より奇なり 正におわらいで、全く飽きもせずに泣き崩れるつらはばかばかしいと笑い飛ばせども。


烏と鳩に希く。


坂道を転げる按配を人生を締めくくるは 他でもない誰彼の声。けれどこんな田舎道では人っ子ひとりもおらぬ。あきぐちを進む枯葉が舞い探すイロハ、なんとも仄暗いものではないか この命 等。確か白城と言ったらしい情景は 細く歪に刻んでいくばくも閉ざした道に、未知を明く舌足らず、


糸冬紡ぐ溜息白く、


火種は靴底にヘタる オシロイバナを摘んだ 二人乗りの泥舟と 野地の血に 固まり合いましたが 既に遅刻した地獄絵かと思われる 近々風穴も 侘しい骸と也ナリ架ける ワイらは時に抱かれ生を継承する 輪蛾為ワガタメに 喰み嵌れ 露骨にもマッパでシタたので なんというか うち溶けるは燈前のらくだった


ぼくがうたえば空が弾いて

にじいろなハトは灰には至らず

ましろなモノに烏は代えり

きみがほどいた光が軋めば

甘い帆影にイルカは遷る

より黒黒に灯は望みて

真下に染まる深遠を知る


にじいろなみだち風とを詠んだ

なきバトは灰には至らず

ましろな古都に烏は囀り

きみが描いた光が満ちれば


坂道を上るも下るもらくではないが君とふたりならば果てまでも行けそうな気がして。


愛を語らう奴隷であろう生物とは逃れてしまえば晒されるか殺されるか生きる術は見つからない随分と窮屈な世界を唯 息を空いて吐き潰してしまいたいのに、


(くるおしいでだろうからくにしてとはてさておかしいであろう)


餌の上の残照はどうしても揺るがなく 厚底の匣にちょっとだけはみ出て至る これがまたいい塩梅でみなが手を翳すものだから 良い陽に成るが。


言葉巧みに創るクッキーやビスクドールの欠片を銀色の身袋に詰めて私が生まれます。

嘘だとお思いでしょうが、でしたら腹裂いて見ればいいのに、何故に拝むばかりでちかづこうとしないのか


畏れ多いモノでありますように、精々、うたいましたか。


鳴らば無垢なままで散りましょうが。もう好いのでしょう此の儘で。共に行けるのならばどこへなりとても声は届くのでしょう。

暗闇を導くは、消え去るまでに、私に声を届けてください。それが相応しい者で在れれば、泣ける。

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