第77話梅に鶯。

少しきついカーディガンを背負う

まだ春風もまばらな、乳房を見上げた


空は快晴で私を見下しては戦ぐ心も萎えるもの

やはり未だ凍える華、夢を魅せていただけ。

酔いどれの千鳥足の、冬は嘲笑うように

風花を共として駆け足に私を取り巻いた。


詐病を惹く、手筈は整えたが

肝心の手見上げが無い。

はて、どうしたもんかと、辺りを魅せていた

溶け残りの白銀に小さく矢印が見え、

誘われるまま低地に還る。


底は其処。気づけば元の道、

いくにちか経ったであろうか

燦然と輝く日は暖かく憶え、

開いた花押に想いを知る。


夢で会ったのかわからない鶯が泣いている

ああ軌跡は君であったのかと吐露する

、さめざめ。と

鳴いてくれるな、ゆく小鳥よ

未知に惑うた私は、そうだ。


明けの紅梅を知っている


ほら微笑み給え開いた侭の眼でも

私は此処に手居るのだから

あたたかな、緋雨。


我に注嗄縷縷ソソガルル

キセツはマワルのだ。


あんときの走馬燈は屹度

心に深く残った開け、唇の艶

しわがれて濡れる

私の嗚咽と囀りは酩酊の末

覗き看得た、終夜ヨモスガラ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る