第83話 瓦礫チョコ

意地はって突っぱねた金の指輪までが基盤に侵食する

脆くて汚い溶解炉の土台 中心に私を ここはアングラの街路樹


捕れもしない、掠りもしない、ヒノキのかおり

上質な綿あめに今宵月花は転げたばかりの順番を指折る


烏以下に真っ黒で 何も見えなくなる にゃおと啼く

残像にもなれない、何処までも不本意なおめ目が濁る。


誰かの流さるるための楽な仕事であっても

均衡の取れない 廻らない独楽のひとつ

私とは、できたての抓み玩具に過ぎない


消し済みの心がまっくろくな箱にもならない愛に

手のひらで包めるほど小さくサラサラと山を作る

病室のカーテンは嗚咽でしめったてれ、

ビニール袋に見つけたひとかけらのチョコレート

菓子本の隙間の時だけを飲み込んでふうと息絶えた


今朝の恋占いは当たらずといえども遠からず

すききらいすききらい、一個づつ分け合ってさ

たべちゃだめって、怒らないでね。

空虚の時にほおばった

あまくて苦い、欠片だけを残して置くから。


まあかな兎を生け捕りに辱めるには きっとはじめから

まちがっていたんだね


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る