第38話付喪神

 いつの間にか一緒になれていた気がしたんだよ

 生まれた時から君がいたから当たり前と思っていた。

 

 目は口ほどにものを云う、違和感なんか全然なくて元から一つだったみたいに、見失った勘違いが、バカみたいに何も見えてなかった。未来が明るいものに覚えるなんて それは唯の眼差しだったことを あんなにも容易く何もかも指し示してくれていたのに。

 

 全てが君色に染まり気づきはしなかったのだ。

 誰も彼も疑うこともなく、人生はなすがままに行けると思っていたよ。

 

 心を以て心を伝う。君がいなくては 僕は生まれないことを、すっかり忘れしまっていた 明かりが僕を映して姿を見せ始める時、君に盗って被われていた穢れが表立って、この姿が声が思いが、君に酔って堰き止められていたことに、今更気づいたところでダダ漏れになってしまったから。

 

 言わず語らず、醜いだけの僕。空箱の君に全てを預けた。全てを飲み込んだ孤高は、置き場所もない程腐っていて今更大事に高利貸しに覆って、売りつけようとしたけれど、既に蕩けて跡形もなくあわれ、あられもない、ボロボロに着飾ったあらわな僕がね、安物の愛情に飼われて行ければ……なんて君は微笑んで言うでしょ、

 以心伝心なんてあるわけないじゃないか。

 忘れてくれって、続けて君はよくも言ったけど。

 その言葉の一つ一つが僕に楔を呑み込ませ、そうだね、とうに狂っていたんだよ。

 

 君も僕もね、そうやって手取り足取り堕ち憑いて、血で血を粗い遭うように、優しく諭されて、涅槃に向かう呼吸を併せて、馴れ合いに等しい深き交わりに堕ちる。

 

 僕らはやっぱり疫病神さ。

 一生誰かについていくしかない。

 他がどう思うかは知らないけれどもね。愛も情も全て全て思い込みだと思えど、何かかにかの因果はあるんじゃないかと、逃れたくもなるけれど、それだって絡め取られてしまって何時まででも引っ付いて離れやしない。

 死して尚、この曲輪から逃れるすべはないのだろう。

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