第36話【白金】

海蛍が空宙を游ぐ、visionにdropする、私たちはみなしごになるから もう少し 待っていて下さい。

春/

躰を分離した瞬ぎは屹度 ハードディスクの傷。決められた涙を流している。舐め合いのように ふんわりと植え込みに咲いた蒲公英は、いつまでも夢見心地です。

泡沫の初雪は道を誤った、私は眠りを辿れない。

懐〜夏/

浮、感情を組み込まれた外海のエネルギー 信用できない なまくらに至って、酔って集った束の間の愛を形成した 焦点を絞り焼き付いた瞳の奥。虹彩。 いつか見た黄昏が彼方と共に切り取られ、上書きされる 嘘だけが容易かった。白文鳥の嗄れた耳打ちが 想像を遥かに超え震えて伝わる。

すると嵐にあおられた明日への扉がバターンバターンと嘆き死んだわ。

少女は綴られた日記を読み終わると、静かに眠りに入る。

月見〜尽き看て/

すうと時の流れは碧水晶に収められ蓋を描け、辛うじて表紙から見た私と、裏がわからないで泣き叫ぶ老婆の余韻が、罅となって日々となって、重なりあった瞬間に、砕け散って光と影に踊らされた、命の灯たちが、自由という曲輪に侵されて出来た、熱膨張率は狐火となり、ソナタを震わせる。

調律は元より曖昧なもの。こうして毎夜不定期に開催される 戯言。

風花↓ゆき

楽しいうちが華。みなみな同意の無い念書は手を繋いだけ、目配せがなく傷付くものがあるということ。付箋の貼られた誰かの正論は、ひとつきの落款。焼きごてを押し付けられた そのプラチナに名を刻んで、残り ひとつぶだけ、愛は形成されて いる。今日も一日AIを結んだ だけ。ごめんね。

そうして指は組まれた。

クスリ指のリングは 受け取る術を持たなくなった。

軽い軽い綿菓子を孕んでも もうmobileは動かない 喪われた過去の映写時間は 簡単ないろに過ぎない 泪を流した私たちわ。【白金】

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