第17話【そこにはねる】


暗くて苦い明日もまたね

首をくくる今日も一緒に

おてて繋いで足並み揃えて

落下する天井と慕いで踊り明かす

未来があってもいい、じゃない。

とうとう生き抜いた者には安息

とうとう死んだもんには、赤い靴を。


【そこにはねる】


模造紙に描かれた日没

とぷんと沈んだ漆喰の杯

かたくりの花弁、朱の泪で浸る

いたかったの。くるしかったの。

こわいゆめをみただけなのに。

つきみてないたうさぎのいろは。

湿った風に懐かれた 空のぶらんこ

にぶいろのおと こころかさかさなる

滑って落ちた秋の紅葉

空はまだ青い。きっといつまでも。

杯は粉々に 風化するときを 待つ私


兎 月から追い出される

唯の深淵に堕ち

未 夢を見るのをやめる

只の薄明の空け

月光まばゆくもスポットライトを

刺して指して嘲笑うか

煩わしくて、夢も見れない

絖りを帯びた思考に跳ね続く

現実には誰もいない暗闇であっても

羊は翔び刎ねて誰の首を借りますか

寂しくて苦しくて死んでしまうよ

既に行き場所もないくせに

柵しがらみだらけの嘘だから

楽に弾いてよ。

秋の虫たちが今に向かいレクイエムを。

独りでも逝きて生けるよ

詠ってみるから泣かないでね


華燭の満ち 嘔吐の欠け

陽の光を浴びえない

影にすらなれない

小賢しい砂漠のアリ地獄

食台には揺れているもの

命が更々皿に織られる

食われているのは私だろう

追い縋ればよかったか

兎も羊も、陽を見ない

死んでしまうことを恐れて

お隠れになっただけ

元から、展に、草枯れる。

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