第2話 成功とか失敗とか

私と同い年、つまりは三十路にほど近い友人がバンド活動をしている。趣味ではなく真剣に。友人は中学校の同級生で、美術の先生に「お前は一か八か、大成功か大失敗するかだな」と言われていた。高校3年生、その友人が、大学へは行かず、音楽系の専門学校に進むというのを人づてに聞いた。頭良いのに勿体ないと皆んなが言った。同感だった。いま、アラサーになってまだ夢を追っている友人を少しだけ羨ましいと思うけど、「ある意味羨ましい」などと口にするときの私は、とてつもなく不細工だろう。きっとちょっとの嘲りと見下しが透けている。心配するふりをして馬鹿にしている。自分のものさしで他人を測れば、諸刃の剣となって自分に返ってくる。分かっている、比べても意味がない。人生は仕事じゃない。成功も失敗も他人が決めるものじゃない。だからこそ、自分が成功してると思いたいがために他人を利用する。浅ましい、まだまだな私。ただ自分の人生を必死に生きるだけなのに、そのことが何より難しい。夢中を生きる、君はいいなぁ。

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