夏に想う

須川  庚

プロローグ

 年に一回、わたしは父方の実家に帰る。

 ここ数年は家族のスケジュール関係で、自分一人で泊まりがけで行くことが多かった。

 その日は毎年お祭りがあって、地元のうちのいとこが参加している。






みおちゃん、久しぶりだな」

 涼ちゃんはうちの二つ上のいとこで、有名大学の一年生だ。涼輔っていうけど、わたしは涼ちゃんと呼んでいた。

 そのお姉ちゃんの怜香れいかちゃんはさらに二つ上の大学三年生で、今年はなかなか忙しくてお祭りには参加できないという。

「涼ちゃん、お祭りの写真を撮りに来たの。一瞬のうちに撮るもの、仕事だもん」

 わたしは高校で写真部に入部していて、今年のテーマは夏。

 帰省するなら、お祭りの様子も撮ろうと思った。













 そして、これは誰にも言ってないことがある。

 涼ちゃんが好きだということ。

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