無色




君が

君があまりにも優しく

静かに降り頻るものだから

語りたくなってしまったよ

夜に紛れ

佇んでいるだけの

僕の話なんて

なにも中身など無いけれど

空っぽな言葉が

身体の真ん中から溢れてくるんだ

次から、

次へと


君が

君がすぐそこにいるみたいだ

耳を澄ませば

君の唄声を聴くことができるし

身を委ねれば

君の温度を肌で感じられるし

手を伸ばせば

君の頬に触れることだってできる

きっと、できる


君の姿は見えない

見えないけれど

君は確かにそこにいる

そう、分かるんだ

わかるんだ



夜の色は何という名をもつのだろう

その中に染まる君の色は

夜という名に成るのだろうか

夜の中に紛れ佇んでいるだけの僕の

僕の色は何という名なのだろうか

名など名乗って良いのだろうか

名などいらないと

そう、思っていた

思っていたはずなのに




この夜に染まりたい

この夜に降り頻る雨に染まりたい

君になりたい



ぼくは君になりたい



静かにただ、

ただ降り頻るだけの雨に


ぼくはなりたい






ただ、それだけなんだ。













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