赤い華





彼奴さえ居なければ


此奴さえ居なければ


僕はもっと生きやすくなるのに



彼奴さえ居なければ


此奴さえ居なければ


僕はこんなにも醜くならなかったのに



彼奴さえ居なければ


此奴さえ居なければ


僕は僕のままでいられたのに


僕は僕のまま


笑って生きていられたはずなのに





あんたさえ居なければ


そう心で何度も泣き喚き


あんたさえ居なければ


そう心でナイフを突き刺して



手が震えて


声が震えて


足も震えて


身体が自分から離れていくように

別のイキモノになっていくようだ




この一線を越えたら




僕の皮を纏ったイキモノが

憎しみで華を赤に染めて

部屋一面に舞い散らすだろう







ボクが心に巣食う僕は


もうこのままでは限界で


もう僕のままではいられない


いつか本当に


僕はボクに呑み込まれて


両手いっぱいに


赤い華を…






いつか


僕は




ボクは






赤い華








赤い華に…

















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