さいかい
「
「結会いたかった、ごめん。置いて行っちゃって。」
「いいよ、もう、大丈夫。」
「本当?」
「いや、やっぱり嘘、ごめん。満が居なくなったあの日から何かさみしい。友達といても家族といても楽しいはずなのに、嬉しいはずなのに何か足りないような気がしてなんないんだ。」
「そっか、ほん」
「それ以上言わないで、私は"ごめん"じゃなくて"ありがとう"が聞きたいの。」
「そうだね。・・・短い間だったけど、彼氏になれて良かったよ。"有り難う"」
「・・・話は済んだか?」
「うわあ!」
「あぁ、先輩。取り合えず終わりましたよ。後は、この子を帰すだけです。」
「あー、一寸待て。トラブルがあった。」
「トラブルって何です?」
「それがな、
「て言うことは?」
「こいつはここにはまだ入れない。よって、現世に帰す。」
「満とまだ居られるって事ですか?」
「おう」
「まだ俺、生きててもいいんですか?」
「おう」
それを聞いた途端、歓声を上げる。
とても嬉しかった。
まだ、満と生きていいんだと心の底から歓喜する。
「あ、でも。」
「何だ?」
「早場さん戻る本体ありませんけど。」
「ああ、そこら辺は大丈夫だ。安心しろ。」
「え、先輩。もしかして。」
先輩と言われた男の人にギロリと睨まれ竦み上がる。
何か問題でも?あるなら言って見ろとでも言わんばかりの顔だった。
「・・・分かりましたよ。ねぇ、二人一寸こっち来て。」
そう言って連れていかれたのは足下が黒に染まった谷だった。
何をするんだろう。
とそのまま立っていると急に押される。
翻った時映ったのはお二人の姿。
「手荒な真似してごめん!そっから落ちたら何もなかった事になるから!安心してぇ!」
安心できるか。
そう叫びたかったけど、出てこなかった。
先の見えない底に自由落下していく。
でも、不思議と不安や恐怖は感じなかった。
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