異世界電車ぶらり旅。~愛染の旅~

日向月

とある街のとある噂。

とある街のとある噂。

路面電車の13番目の駅の辻境駅。

いつ来るか分からない黄泉行きの電車に乗ると、彼岸に行けるらしい。

しかし、行ったものは帰ってこれないという噂がある。








「結、帰ろ!」

「う、うん。」

「・・・やっぱりもう二日休んだ方が良かったんじゃない?」

「大丈夫だよ。うじうじ引き摺ってもられないし、それに何かしてないと思い出しちゃう。」


一週間前、彼氏が事故死した。

昔からの幼馴染で恋心に気づいたのは、中学三年。

それから一年たった春、自分から告白した。

そんな矢先の事故。

もう、なにも考えたくなかった。

だから、学校にでて、日常を取り戻そうとしている。

あの人の居ない日常に。


「それでさー」

「あ、私こっちだわ。じゃあねー。」

「おい、人の話遮んなよ、まあいっか、じゃあね。」

「結も。」

「あ、うん、じゃあね。」


でも、ふとしたときにとても寂しくなる。


「やっぱり寂しいな。」


弱音は吐かないと決めたのに、とんだ皮肉な話だな。

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