第17話 裏ギルドでの初手柄と方針転換
ボスを確保したところで、次にすべきは周りの部下を大人しくさせる事。2人はボスを拘束しながら部下達に向けて交渉を開始する。
「あんたらのボスは私達が捕まえた。まだ生きてる。けど、あんたらの動き次第じゃ……」
「ボスは然るべきところに突き出すだけだ、きっとすぐに出てくる。後は……分かるだろう?」
「ぐぬぬ……」
こうして交渉は成立し、部下達は教会から出ていった。作戦が成功して2人は笑顔でハイタッチ。
「アレサ、改めて助けに来てくれて有難う」
「よく言うよ。私よりよっぽど強い癖に」
「あ、バレてた?」
アレサはさっきの決闘でセランの実力を見抜いていた。だからこそ彼の作戦に乗ったのだ。もしかしたら酒場で暴れたところ、いや、アレサを酒場に誘ったところから彼の作戦は始まっていたのかも知れない。食えない男だなと、彼女は少し呆れ顔を見せる。
邪魔者もいなくなり、ボスの拘束も完了して、後はどちらが彼をギルドに連れて行くかと言う段階になった。アレサがその話をしようとしたところ、先にセランが手を前に出す。
「この手柄はアレサちゃんにあげるよ。前の仕事では騙すような事をしちゃったし」
「ふん、当然だ。後で今のなしとか言われても無効だからな」
「はは、分かってるって」
こうして話もついて、セランは先に教会を出る。アレサがそれを見守る中、彼は不意に振り返った。
「これから君はどうするんだい? まだ続けるのかい?」
「やっぱり俺、こう言うのは性に合わないみたいだ。だからまた前の仕事に戻るよ」
「そっか、頑張れ。応援してる」
セランは彼女の返事を聞いてニッコリ笑う。その時ちょうど朝日のまぶしい光が教会の開けっ放しの扉から射し込んで、彼女は思わず両目を閉じた。次に視界が戻った時、彼はもうアレサの視界から消え去ってしまっていた。
幻のように消えた事に謎の違和感を感じつつ、彼女はその後も淡々と1人で事後処理を続ける。マフィアのボスを賞金稼ぎの事務所に届け、その足で彼女は冒険者ギルドに向かった。
1人の限界を知って更に成長出来たアレサは、きっと魔物退治でも以前よりもっと自分を活かした立ち振舞が出来るようになった事だろう。
「さて、ギルドにいい仕事はあるかな」
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