マヨナカシンセイブツ

千代田 晴夢

神の降臨

 いつも通りの時間に起きて、いつも通り学校へ行く。そんな日々。

まあ、それも悪くないんだけどさ。


 僕は森畑創。ごくごく普通の高校二年生。部活はゲーム同好会で、成績は普通。

 普通の陰キャだよくそったれー!こんちくしょう!


 そういう訳で、今日も楽しく(?)学校へ向かっていた。独りで。


 徒歩20分かかる道のりで、唯一の交差点。そこで僕はスマホを取り出し、いつものようにゲームを始めた。

信号が赤に変わるまでのささやかな楽しみだ。


「よし、最初の獲物取れた!」


そう小さく呟いた瞬間。

僕のスマホの画面がいきなり真っ暗になった。


「……は?」


有り得ない!折角の楽しみが!!!

充電し忘れたかな……。


 しかしどうやら周りの様子がおかしい。みんなキョロキョロしている。

前をみると、信号機が付いていない。車も全て止まっていた。


 そして。


キ――――――――――ン


いきなり頭の中に轟音が響いた。

う、立っていられない。周りの人たちもみんな、耳を塞いでしゃがみこんでいた。


「な、なんだ…?」


体が、動かなく、なった……



――えー、みなさんごきげんよう。今、あなたの脳内に直接語りかけています。……いや違うな、……ゴホンゴホン、みなさんこんにちは。突然だが、僕は神だ。君たち、いや、この星のあらゆる生物をつくったのはこの僕だ。

 この星は君たち人間のおかげで素晴らしい発展を遂げた。


しかーし!

僕は少しばかり増やしすぎてしまったようだ。実際、他の生き物の生態系は崩れ、地球温暖化は進んでいる。

 だから僕は考えた。どうすればこの状況を打破できるか。

そして、1つの結論に至った。……新しいキーストーン種を作ろうと。


 僕はたった今、新種の生物となる卵をこの星にばらまいた。明日には卵から孵り、あと1週間くらいで一番食欲旺盛な時期になるだろう。もちろん繁殖もする。


 この話を信じるか信じないかは君たち次第だが、きっと生き残れるのは信じた者だけだ。


 まあ、これで確実に人間の数は減る。だが、生き残りたいやつは何を捨てても生き残れ。以上だ。せいぜい頑張ってくれ。


ザザザザザザザザ……



 その音を最後に神(自称)の話は終わった。

その瞬間、世界は混乱状態に陥った。


 僕の今いる交差点も然り。慌てふためく人、涙を流す人、何故か逃げる人。

みんな冷静ではなくなっている。……だが、そんなことしても意味なんてない。


 1週間で、出来ることはあるだろうか。

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