後編

次は陸地の熱帯雨林探索です。

「陸地にも危険な動植物たちがいっぱい棲息しているから十分気をつけて歩いてくれよ」



私も恐る恐る歩いてみると茂みからから変な気配を感じました。

「きゃぁぁぁっ、アントニオさん、あっあそこに、だだだっ大蛇が……」

「大丈夫かい? 日本人のお嬢ちゃん、こいつはジャイアントアナコンダだ。毒は無いが巻きつかれたらひとたまりもないぜーっ」

「怖かったです。あんな間近で迫力満点ですね」


「夜になるとワニやジャガーも出てくるぜ。ナイトクルージングは、よりスリル満点だ」

「アントニオさんには怖いものなしですね」

「いやいや、ピラニアなんか大人しいものさ。ウチの女房の方が怖いぜ。カンディルや小さな毒を持った昆虫とかはボクも敵わないよ。一寸の虫にも五分の魂っていう日本のことわざがあるだろ? 地面をよく見てみな。ファイヤーアントっていう危険なアリがうようよ歩いているぜ」

「噛まれたら痛そうですね。あっ、カラフルなカエルさんもいる」

「そいつはヤドクガエルだぜ。きれいでついつい触ってしまいそうになるけど自然界ではカラフルな色の物ほど危ないぜ」

「危うく触るところでした」

「もちろん危険な生き物だけでなく、面白いものをいるぜ。この木を見てごらん」

「カブトムシさんだ」

「世界最大のカブトムシ、『ヘラクレスオオカブト』だ」

「図鑑以外で初めて目にしました。感激です」

「今度はあそこの木の上を見てごらん」

「ナマケモノさんだ。お顔がかわいい。見ていると癒されます」

「ほとんど動かないだろ? でも水中では速いんだぜ」

「おサルさんもいますね」

「あいつはフンボルトウーリーモンキーだよ。ここには美味しい果実もいっぱいあるぜ」

 

 さらに奥へ入ってフルーツ狩りを楽しみます。


「それにしても木がたくさん生い茂って歩きにくいです」

「ここは背が高いと大変だな。この前ボクの友人のディック君が来てたよ。2メートルは軽く超える巨人のやつさ」

「チーズ屋さんの人だ」

「おーっ、知り合いかぁ、よろしく言っといてくれよ。おーっ、見えて来たな」


「木の実がいっぱいだぁ」

「こいつは『グアバ』、あいつは『アセロラ』だ。この他にも数え切れないほどの種類のフルーツがあるぜ」

「フルーツの楽園ですね」

「耳を傾けてごらん」

「あっ、野鳥の声が聞こえてきます」

「アマゾン川って素晴らしいだろう? 本物のアマゾン川は熱帯雨林がどんどん消滅しているんだ。環境破壊は悲しいことだよ。ボクたちでこの地球を守っていかなくちゃならないね」


 アントニオさんは大自然を愛する人です。


怖かったけど楽しいクルージングを終えて、お昼ご飯です。

アントニオさんが捕まえてくれたピラニアやフルーツなどをコックさんに調理していただききました。


「川の中は濁っている所もあって見えにくかっただろう? 川の中の生き物をもっと詳しく観察したかったら、あそこのアマゾン川水族館をご覧になってくれよ。豊富な種類にあっと驚くぜ」

 アントニオさんは10ヶ国語以上を話せるそうです。この文を見ると私がアントニオさん独り占めしてるように思われますが、もちろん他のお客様ともその国の言葉でたくさんお話していました。

 


早速、水族館へ行ってみました。ピラニア以外にもたくさんの生き物たちがいます。デンキウナギの電圧測定もやっていました。


「こっちはナマズさんだぁ、こんにちは、この子のお名前は『タイガーショベルノーズキャット』って言うんだ。なんかお髭がかわいい」

 

 売店にお魚さんたちのぬいぐるみやキーホルダーが売っていたので、また買いすぎてしまいました。ここのすぐ近くに世界気象科学館があります。


「こんにちは」

「こんにちは、ここでは日本国内では体験できないような苛酷な自然環境を味わうことが出来ます。今は真夏ですから南極体験館がおすすめですよ」


久しぶりに日本人の従業員さんを見ました。

南極体験館のすぐ隣には砂漠の体験館がありました。まったく逆の環境です。

私は涼みに来たので南極体験館の方へ入ります。気温マイナス50度、ブリザードも体験できます。ペンギンさんもいます。


「さっ、寒い、というより痛いよーっ、ペンギンさん、こんにちは。寒くないのかなぁ?」

ペンギンさんは悠然と歩いています。


この寒い部屋の中で、南国系の人を見かけました。

 私に話しかけてくれました。


「チャオ・アウム、こんにちは。あなた日本の人だね?」

「はい、そうです。こんにちは」

「わたしベトナム出身のニュンって言います」

「私の名前は朝霧雲雀です。ニュンさんもここの街に住んでいるんですね」

「はい、6年ほどこの街で暮らしています。わたしの出身地のホーチミンでは、冬がないからこういう体験をしたくてここへ何度も訪れているんです。日本の冬の寒さもこれで克服できます」

「日本の冬はここまで寒くは無いから、これが耐えれたら日本の冬は楽勝ですね」

「でも、さすがにここにいるのは1分が限界よ。ブリザートが吹く前に出ないと」

「私ももう限界です」


「こっちは台風も体験できるよ」


風速50メートル、雨も降っています。

「さっきの南極体験館よりも過酷だよ。しっかり捕まってないと飛ばされそう」

「私の国では毎年このクラスのが来るよ」

ニュンさんは慣れているせいか平気そうでした。


大気現象や蜃気楼が観察出来るお部屋もありました。

「太陽柱の映像、きれいだねぇ」

「この街ではブロッケン現象と蜃気楼はごく稀に自然に見れることもあるのよ。ダイヤモンドダストと太陽柱はさすがに無理だと思うけどね」

「神秘的な街ですね。いつか見てみたいです」

「あっ、そろそろ開店する時間だ。わたし、ベトナム街でお店を出しているからぜひ遊びに来てね。これが地図よ」

「道が複雑過ぎます。迷わなければ行ってみますね」


一旦ニュンさんに別れを告げて再び水上バスに乗り換えます。

さらに南に下ると東南アジア風の街並みが見えてきました。


「次は水上マーケット、水上マーケットです」

小舟に乗り換えてショッピングを楽しみます。

果物屋さんから強烈なにおいがします。噂のドリアンです。

「においは強烈だけど、果物の王様、とても美味しいよ」

「すみません、私には無理です」

「確かにそのままだと、日本人にはきついかな。ドリアンキャンディはどうだい?」

「キャンディかぁ。それなら大丈夫そうです。1袋下さい」

「コープ クン、ありがとう」

「おじさん、日本の夏も東南アジアと同じくらい暑いでしょう?」

「そうだね。今の季節は最高だよ。冬は寒すぎてね、たまに雪化粧した東南アジアの街並みが見れて不思議な感覚が味わえるよ。子供たちが雪だるまとかを作ったりして風情があるよ」

「冬にも来てみたいなぁ」


「お嬢さん、美味しい揚げ物があるよ。ゲンゴロウにコオロギにタイワンタガメ、その他いろいろ」


 昆虫さんたちが揚げ物になって売られていました。

「ごめんなさい、私には無理ですーっ」

「日本の人が最初にこれを見たらやはりね……」


民芸品を売っているお店もありました。


「このポーチ、かわいい」

「これは、リス族のポーチだよ」

「刺繍がきれいです。欲しいです」

「コープ クン、ありがとう」

「こっちのアカ族の帽子も欲しいです。飾りが多くて重いですね」

「これは悪霊から身を守る役割があるんだよ。他にもカレン族やモン族など、それぞれの風習を持ってるよ」

「いろんな少数民族がいて面白いです」

「その方達が売り子をしているお店もあるよ」

「会ってみたいです」


舟から降りて街中を歩きます。

本当にタイに来たみたいです。


 カレン族の方が経営しているお土産さんに入ってみると首に輪を巻いて首を長く見せている女性の方たちがいました。

年をとるにつれて輪の数を増やしていくそうです。


「街中にはネコさんたちがいっぱい、あの模様のは確かシャム猫だね、こんにちは」

「ミャッ」

「写真撮っていいですか?」

「ミャー」

「嬉しい。ありがとう」


他になんとこの街にはゾウも練り歩いてます。

午前中は托鉢僧の姿も見れるそうです。


「日本の他の街では絶対見られない光景ですね」

「そうだろ? お嬢ちゃん、乗ってみるかい?」

「ええっ、いいんですか!?」


 ゾウに乗って街中を歩きました。乗り心地も最高です。


「ゾウに乗るなんて日本のこの街以外ではなかなか体験出来ません。貴重な体験が出来て嬉しかったです。また乗りたいよーっ」

「またいつでも来てくれよ。お嬢さん」


続いてゾウのショーを見せてくれました。


「今からこのダニエル君が半紙に筆で文字を書いてくれます。まずは『ひまわり』という文字からだよ」


インドゾウのダニエル君は鼻を器用に使い、とても上手に書いてくれました。


「ダニエル君、ひらがな上手だね。今度は漢字も書いてみよう。次は『花火』だよ」


今度も上手に書いてくれました。

「わぁ~、ダニエル君すごいです」

「ダニエル君、よく出来たね。今度はもっと難しい漢字に挑戦してみよう。そこの日本のお嬢さん、あなたのお名前は?」

「朝霧雲雀です」

「朝霧雲雀ちゃんかぁ、この紙に漢字で書いてね」


「出来ました」

「お~、難しい漢字の名前だね。ダニエル君に出来るかな?」


ダニエル君の挑戦スタートです。

「ダニエル君、頑張ってー」

 私も懸命に応援します。ダニエル君も頑張ります。

 

10分くらい経って漸く完成しました。大成功です。

「ダニエル君、やったね」

「漢字まで書けるなんて、すご過ぎです」


みんなから拍手が送られました。ダニエル君も大喜びです。


今は行書体の特訓をしているそうです。

今後の活躍に期待です。


水田も見かけました。

「田んぼだ、これが浮稲かぁ、水の中すごく深そう」


暑いのでアイスクリーム屋さんに入りました。

「サワッディ カ、こんにちは」

「こんにちは、お姉さん。見たことが無い種類がいっぱい、サントール味にタマリンド味にマンゴー味、どれにしようかな?」


無難にマンゴー味にしました。


さすがは仏教の国『タイ』、仏教寺院がたくさん建ち並んでいます。

その中に入ってみました。


「ガルルルルゥゥゥ、ガゥ」

「きゃあああーっ」


トラさんがいて驚きました。

「サワディー クラップ、こんにちは、日本のお客様、ここではトラと触れ合うことも出来るよ」


 タイガーテンプルをモデルにした所でした。


「このトラをなでてごらん」

「なんか怖いなぁ、トラさん、噛み付かないでね」


私、ちょっと怯えながら触ってみました。

「ほら、大丈夫だろ?」

「はい、トラさんの毛、サラサラして気持ちいいです」

「記念撮影も出来るよ」


 トラさんとツーショット、良い思い出が出来ました。

「おじさんはトラさんとお友達ですね」

「ああ、こいつらとは長年の付き合いだからな。オレはトラが大好きなんだ。日本にトラの絵が描かれた屏風があるだろう? オレの家に飾ってあるよ」

「あの屏風絵って格好いいですよね。迫力もあって」

「一休の話ではトラが出てくるみたいだからな」


タイ街をあとにしてニュンさんのお店があるベトナム街にやって来ました。

バイクが山のように走っていました。


ガイドさんに案内してもらいニュンさんのお店に辿り着きました。

 ここで午後のティータイムです。

「こんばんは、ニュンさん、遊びに来ましたよ。わぁ~、民族衣装が素敵です」

「チャオ・アウム、ひばりちゃん、これはアオザイという民族衣装よ。良かったら着てみる?」

「着てみたいです」

民族衣装を着させてもらいました。衣装を着るとその国の住人になった気分がします。

「よく似合ってるよ。ひばりちゃん」

「ありがとう」

「ご注文は何にする?」

「おすすめのベトナム料理をおまかせします」


 しばらく待っていると美味しそうなお料理が出てきました。


「お待たせーっ、ベトナム料理のフォーと生春巻き、こっちは日本でもよく見かけるエビフライよ」

「エビフライだ。日本ではタルタルソースをつけることが多いけど見慣れないソースが使われていますね」

「これはヌックマムっていうベトナムを代表する調味料でアンチョビなどを原料にして作った醤油よ」

「初めて見ました」

「そしてお飲み物がベトナムのお茶、ハス茶よ」

「こちらも初めて見ました。いい香りです」


「エビフライ、美味しいーっ、このソースも合いますね」

「東南アジアではエビの養殖が盛んよ。でもそのためにマングローブ林が破壊されるのはとても残念なことだと思うの」

「地球環境は大事ですね」

「実はあともう一つあるんだけど、初めて見たら引いちゃうかな……」


そう言ってニュンさんはもう一つの料理を出しました。

「これはホビロンと言って孵化直前のアヒルの卵をゆでたものよ」


「ちょっとびっくりしました。昆虫さんたちもですけど、世界にはいろんな食文化があって面白いです」

「ラオスの市場に行くともっとすごいものが見れるわよ」

「この後行ってみますね」


「民族音楽も面白いわよ。今から民族楽器のダン・バウの演奏を聞かせてあげるね」


ダン・バウは琴のような楽器です。弦が1つしかなく演奏がとても難しいのですが、ニュンさんは手馴れた手つきで弦を弾いてとてもきれいな音色で演奏してくれました。


「とても良かったです。聞いていると癒されました」

「ありがとう。わたし今、日本の和楽器の練習もしてるの。尺八とか三味線とか……日本の文化をもっと学びたくて」

「立派です。頑張って下さい」


ティータイムと言いながら、ディナー並みに食べ過ぎてしまいました。

美味しかったので、まあいいや。


ラオス街にやって来ました。

目の前に立派な門が建っていました。


「わぁ~、すごーい、フランス街で見た凱旋門みたい」


 この門はラオスの首都ヴィエンチャンにある凱旋門の一つ、アヌサーワリー・パトゥーサイをモデルにして作られたものらしいです。


「サバーイ ディ、こんにちは」

「こんにちは。なにかおすすめのお土産はありませんか?」

「ビア・ラオっていうビールがおすすめだよ」

「私は未成年だから飲めないけど、お土産に買って帰ろう」

「コープ ジャイ、ありがとう」

「仏像さんの置物もいっぱいありますね」

「ラオスも仏教国だからね。あそこの公園にとても面白いものがあるよ」

「行ってみますね」


その公園には奇妙な仏像さんがたくさん展示されていました。

通称ブッダパークと呼ばれる観光地『ワット・シェンクアン』をモデルにしているそうです。

「こんにちは、暑くないですか?」

仏像さんに声をかけ、写真に収めました。

 寝そべっている仏像さんとかもいて、気持ち良さそうです」


市場にやって来ました。ここでは虫やネズミやカエル、得体の知れない獣などが食材として売られています。


「あのぅ、おばさん、これは何ですか?」

「これはモモンガだよ」

「こちらは?」

「こっちはムササビだよ」

「……」


日本人から見ると奇妙な光景に思われるかもしれませんが、様々な食文化を知ることが出来ました。


インドネシア街にやってきました。

ここはイスラム世界です。

女性の方は『チャドル』と呼ばれる黒い布で全身を覆ったものを着ている方が多いです。

私はノースリーブだったので、気まずいです。服屋さんに入ってもう少し長い袖のを買って着替えました。


バリ島街ではやや異なった雰囲気です。

ここはヒンドゥー教徒が多いです。

シヴァの銅像がたくさんあります。


寺院にはおサルさんもたくさんいました。

手荷物を取られそうになったり、胸を触れたりしましたが、いい思い出です。

ここはウルワトゥ寺院をモデルにして作られています。

時間の関係で見れませんでしたが、バリ島の伝統舞踊ケシャ・ダンスの公演も行われています。


動植物園へ入ってみました。

中はジャングルのようになっています。

ガイドのお姉さんに案内してもらい、インドネシア・ニューギニアの森を探検します」


「ようこそ、今からこの中を案内します。木々が生い茂って歩きにくいので足元に十分注意してくださいね」

 

 本日のジャングル体験第2弾スタートです。


「こちらの木の上の方をご覧下さい」

「ああっ、オランウータンだ。表情が人間みたい」

「マレー語で森の人を意味しますからね。テナガザルも人間に近いですよ」

「あっ、お姉さん、あそこにいるのがテナガザルですね?」

「その通り、テナガザルにもいろいろな種類がいてあの子はシロテナガザルよ」

「全部の種類を見分けられるんですか?」

「ここの動植物はみんなワタシのお友達だから、簡単よ」


あるテナガザルさんが私に木の実を持ってきました。


「この子、あなたのことが気に入ったみたいね。これをあなたにプレゼントしたいみたいよ。この子はワウワウテナガザルね」

「ありがとう、ワウワウテナガザルさんって言うんだね。面白い名前」

「この子と握手してあげてね。お友達の証よ」

「わぁ~い、ワウワウテナガザルさんと握手だ。これで私ともお友達だね」


「この辺りは危険な動物もいるから気をつけてね」

「あっ、トラさんだ。タイ街でも見ましたが種類が違いますね」

「あのトラはスマトラトラよ」

「このトラさんも面白いお名前ですね」

「がるるるるるぅー」

「あっ、私と目があってしましました。あわわわ、ごめんなさい、スマトラトラさん、あなたのお名前をバカにしてしまって……お姉さん、早く逃げないと……」

「ワタシがついてるから大丈夫よ」


 スマトラトラさんはガイドのお姉さん(と私)の方へ寄ってきました。


「よしよし、スマトラトラさん、お腹が空いたのね? 今、エサをあげるね」

「ミャーン」

 スマトラトラさんはガイドさんのことをお母さんのように甘えていました。

 

「トラさんって怒らなければかわいいですね」

「ネコ科の動物だからね」

「あっ、あっちにヒョウがいます」

「あの子はウンピョウよ」

「また、こっちに向かって来ましたよ」

「ミャ~オ」

「見た目によらず鳴き声がとてもかわいいです。この子もネコ科の動物さんですね」

「そうよ、いっぱい撫でてあげてね」


 この動物さんたちはガイドさんのおかげで大人しくなっているんです。普通は人間の姿を見ると襲ってきて大変危険なので絶対に真似はしないで下さいね。


しばらく歩いていると目の前に巨大なトガケさんたちが現れました。

「うわー、恐竜みたい」

「世界最大級のハナブオオトカゲとコモドオオトカゲよ。近づくと危ないから遠くから観察してね」


 遠くからそっと写真に収めました。


「昆虫達もいっぱいいるわよ。この辺りの木々を見てね」

「黄金色のカブトムシさんだーっ」

「これはアジア最大のカブトムシ『スマトラコーカサス』よ」

「これはクワガタさんだね。大きいーっ」

「こちらは世界最大のクワガタムシ『ギラファノコギリクワガタ』よ」

「角が格好いいですね。こんなすごいのを見てしまうと日本のカブトムシさんやクワガタムシさんが霞んで見えてしまいます」


アマゾンでは世界最大のカブトムシ、こっちでは世界最大のクワガタムシに出会うことが出来てとても感激しました。


「次は世界一大きなお花の所へ案内するね」


ジャングルの中は不思議な植物もたくさんありました。


「こちらがスマトラオオコンニャクとラフレシアよ」

「とても臭いです。長い間お掃除してないおトイレみたい。それに襲って来そう。スマトラオオコンニャク、ラフレシアさん、こんにちは、私と仲良くしてね」


「ジャングルって危険なところも多いですけど探検とても楽しかったです」

「またいらしてね。冬のジャングル探検もおすすめよ。雪が積もったジャングルと勝って他の場所では絶対見れないでしょう」

 

動植物園をあとにして、次はシンガポール街です。


「マーライオンさんだ。こんにちは」

 もちろんレプリカですが、よく出来ています。

 街中を歩いていると空が曇ってきました。夕立です。

「あっ、雨が降ってきたよーっ」


 お土産屋さんで雨宿りをします。


「スラマト ペダン、こんばんは」

「こんばんは、雨に降られて散々でした」

「それ大変だったね。でも夕立が来ると故郷のスコールを思い出すよ。ゆっくり見ていってね」

「マーライオンさんのグッズがいっぱいだーっ、ぬいぐるみさんやキーホルダーやマグカップや……欲しい物がいっぱい」


 入るつもりは無かったんですが、ついつい買いすぎてしまいました。


「あっ、雨があがってる、さっきよりも涼しい」

「スコールとそっくりだね。まぁ本場のは、もっと雨風がすごいけどな」


通りをどんどん歩いていくと、やがてインド風の街になってきました。川の中で沐浴している人の姿が見られます。神聖とされる牛もたくさんいました。


何か人だかりがあったので見に行ってみました


「あーっ、あれテレビでたまに見るヘビ使いだ」

 

ターバンを巻いたお爺さんがヘビを見せていました。


「ナマステ、日本のお嬢さん」

「コブラを笛で操る人ですね」

「フォッ、フォッ、フォッ、そうじゃ、そうじゃ。コブラにもいろんな種類があってのぅ、こいつはキングコブラ、一番でかい。噛まれたら死ぬ」

「お爺さん、大丈夫なんですか?」

「フォッ、フォッ、フォッ、大丈夫じゃ、大丈夫じゃ。こいつは毒を抜いてある。でもっ、噛まれたら……痛い。それでは今からこの道80年の技を見せてあげよう」


コブラ使いのお爺さんが笛を吹くとコブラが踊ります。

「おーっ、今日は機嫌がいいな。フォッフォッフォツ」


お爺さんもとても楽しそうです。

ショーが終わるとヘビと記念撮影ができます。


「お嬢さんもこいつを首に巻いて記念撮影はいかがかな? フォッフォッフォ、2ルピー、日本の通貨でいうと5円じゃよ」

「怖いですぅ、遠慮しておきます」


トラさんは出来ましたが、さすがにそれは私には無理でした。


市場ではスパイスの専門店がたくさんありました。


遊んでいるうちに外が暗くなってしまいました。夜に女の子だけで出歩くと危ないと聞いていたのでとても心配です。お店の人に頼んでホテルまでついて来てもらおうと思い、相談しました。

「あのぅ、暗くて怖いのでどなたか一緒についてきてもらえませんか?」

「この街は悪い人なんて全くいない世界一安全な街よ。でもっ、野生動物には気をつけて」

「そういえば、財布を落としたらすぐに届けてくれました」

「この街にはね、とても不思議な力があって、どんな人でもこの街に来ると穏やかな気持ちになれる、そんな癒しの空気に満ち溢れているのよ」


確かに危険な雰囲気は全然ありません。2日目のホテルはタージマハルのような外観の建物です。

「それではお部屋まで案内します」


超高級ホテルのような豪華なお部屋です。これでも一泊2千円です。


ディナータイムです。

「お待たせしました。タンドリーチキンとラッサム、お飲み物の『トルコ・コーヒー』でございます」

 

 さすがヒンドゥー教の国です。メニューに牛肉はありません。

 食後のデザートにバルフィと呼ばれるインドのお菓子を食べました。

 体重が心配です。

食堂の大ホールでインド舞踊を披露していました。

民族衣装のサリーの試着も出来ます。


ここもお風呂は和風になっていました。建物の外観は異国のものでも、中に入ると日本文化が浸透しているものも多いです。


「あ~、やっぱり湯船につかるのが一番気持ちいいなぁー」


お部屋に戻って今日買ったドリアンキャンディーを食べることにしました。

「どんな味か楽しみだな」

 袋を開けます。

「……」

 

その後のことはご想像下さい。


「良かったぁ、ここのおトイレは紙があるよ」

インド街でおトイレを使ったのですが、紙がありませんでした。桶が置かれていて左手で洗い流すようになっているみたいです。そういう所も一部に残っています。


今夜もぬいぐるみさんと一緒にお休みです。


8月1日 


朝食メニューに変わったハンバーガーがあったので注文してみました。


「マハラジャ・マックでございます」

「羊の肉だ。そうか牛肉とかは食べないからね」

「インドでは菜食主義の方も多く、肉を使っていないハンバーガーもございますよ」

「へぇ~」


食事の後はお庭を散歩してみました。


「あっ、サリーが干されてる」


隣を流れる川で洗濯をしていました。

水遊びをしている子供達の姿など、見ていて和みます。


インド街をあとにし、路面電車で死海体験館まで移動します。


「すごい、みんな浮いてるーっ、楽しそう」

私も水着に着替えて湖に入ります。


「プカプカして気持ちいい」


和んでいるとお爺さんが話しかけてきました。


「そうだろう? 日本人のお嬢さん、ワシはこの街に暮らし始めてから6年、毎日ここに浮かびながら読書をするのを日課にしてるよ」

「ここって沈もうと思っても沈めませんから本が濡れないように出来ますね」

「すごい塩の量だろう? ワシはここの塩を漬物やお味噌汁に使ってるよ」

「日本料理ですね」

「ワシ、日本料理が大好物じゃ。特に鯛の塩釜焼きじゃな」


お土産屋さんに入りました。


「ボケルトフ、おはよう、お嬢ちゃん」

「おはよう」

「死海の塩でできた商品がいっぱいあるよ」

「石鹸と泥パックを下さい」

「ト ダ、ありがとう」


 ここからしばらく歩いているとペルシャ風の街並みが見えてきました。

早速お土産屋さんでお買い物です。


「サラーム、こんにちは、日本のお客様」

「この絨毯とこのランプを下さい。これ、本当に空を飛べたり、魔人が出てきたりしそうな雰囲気です」

「お嬢さんアラビアンアイト気分だね。ナッツの女王、ピスタチオも美味しいよ」

「それも下さい」


街中にはペルシャ猫がたくさんいました。

「ペルシャ猫さん、こんにちはーっ」

「ミャオーン」

「かわいい、お写真撮ってもいい?」

「ミャーン」


許可が取れた(と思う)ので写真に収めました。


再び路面電車に乗ってエジプト街まで移動します。

砂漠のようになっている所に日干しレンガの家やスフィンクス、ビラミッドのレプリカなどが立ち並んでいます。


ラクダ乗り場は、行列待ちです。しばらく待ってから乗ります。

「サバーフ・アルハイル。おはようございます。日本のお客様」

「あつ~い、本当に砂漠に来てるみたいですね」

「今の気温30度くらいだね。本物の砂漠では50度越えるからもっと厳しいですよ」

「苛酷な環境ですね。やはり日本は暮らしやすいですか?」

「日本は雨が多くて水が豊富っていうのがいいね。でも雨が降ったら建造物の維持が困難だよ。雨が多い砂漠って不思議な感じがするよ。冬は雪も積もるし……」

「鳥取砂丘みたいな感じですね」

「でも、ここは本物みたいにサソリもいるから気をつけてね」

「本当だ。ここだけ見ると本物の砂漠みたいですね」


「お嬢さん、ラクダのコブの中には何が入ってるか知ってるかい」

「お水!」

「残念、正解は脂肪だよ」

「ずっとお水かと思ってました」



「地面を見ると本当にサソリさん多いですね。おじさんは」

「おーっ、こいつは大変危険なやつだな。デスストーカーっていうやつだ。指されたら人間でも一殺だ。でもサソリのほとんどは毒なんか持ってないんだぜ」

「そうだったんですか? イメージと違います」


砂漠を歩いていくとオアシスが現れました。

「水がきれい、泳ぎたいな」

「ここには獰猛なワニが棲息しているよ」


 突然、水の中からワニが飛び出てきました。

「きゃあああああああっ」

「こいつはナイルワニだな。だがこいつよりも強いやつがいるぜ。あそこにいるのはナイルオオトカゲ。ナイルワニの卵を食うんだ」

「昨日見たコモドオオトカゲさんよりは小さいですけどすごい迫力です」


遺跡巡りもしました。

本物のミイラなどは置いてないので写真だけですが、なかなか良かったです。


お土産はラクダさんのジグソーパズルやヒエログリフが書かれたタオルなどです。

文字が格好いいです。


砂漠の旅を終えて、お昼ご飯です。

エチオピア料理『インジェラ』と『ワット』です。

独特な味です。


続いてサバンナの草原の見物です。バスに乗って移動します。

 

ガイドのお姉さんの案内つきです


「まずは草食動物ゾーンから案内します」


「わぁー、キリンさんにシマウマさんだ」

「ここは降りることも出来るよ」


バスから降りて間近で観察しました。

「あのキリンさん、お水を飲んでる。こういう格好で飲むんだ」

「これは敵に襲われた時に急いで逃げるためよ」


従業員の方がエサを持ってきました。

「このエサをあげてね」

「自分でエサをあげれるんですか? 嬉しい。キリンさん、こんにちは、エサだよ」


 キリンさんは長い首をゆっくりと私の方へ向け、エサを食べてくれました。

「キリンさん、美味しい?」

「モー」


 なんと、キリンさんが声を出しました。


「私、キリンの鳴き声初めて聞きました。牛みたいな鳴き声ですね」

「ワタシも久しぶりに聞いたよ。キリンさんは鳴くことって滅多に無いのよ。よっぽど嬉しかったのね」


貴重な体験が出来て私も嬉しかったです。



「シマウマさん、こんにちは、なんか他にもシマウマさんがたくさんいるけど模様が微妙に違うような……」

「この子はグラントシマウマよ。そしてあそこにいるのがグレビーシマウマね」 

「シマウマさんもいろんな種類がいるんだね」


再びバスに乗り込みます。


「みなさま、前方をご覧下さい」

「わぁ~、ヌーさんの群れだ」


バスの前を横切っています。しばし待って出発します。


「このエリアはおサルさんたちがたくさんいますよ」

「チンパンジーさんだ」


手を振るとチンパンジーさんも手を振ってくれました。嬉しかったです。


「あっ、あれはマントヒヒさんだ。面白いお顔」


「あのおサルさんは何っていうなまえなんだろう?」

「あの子はパタスモンキーよ」

「パタスモンキーさん、元気でねーっ」


「続いてサイさんのエリアです」

「角が格好いいです」

「サイの角の成分は何か知ってる?」

「ラクダさんのコブは脂肪だったからサイさんも脂肪かな?」

「正解はケラチンよ。人間の爪みたいなものね。折れてもまた生えてくるよ」

「へぇー、サイさんすごい能力です」


「あーっ、なんか変な鳥さんがいるよーっ」

「あれはハシビロコウよ。動かない鳥として有名なの」

「近くで観察できるよ」


バスから降りて、観察します。

「ハシビロコウさん、こんにちはーっ」

「……」

「ハシビロウさぁーん」

「……」

まるで仙人のようでした。


「あの動物はジャンプの達人、インパラさんだよ」

「シカみたいですね。飛ばないかな……あっ、飛んだーっ」


 ひとっ飛びで10メートルくらいは飛びました。人間なら世界記録です。


辺りがだんだん怖い雰囲気になってきました。


「この辺りは毒蛇がたくさん棲息して危険地帯になっています」


 バスの窓からのぞくと緑色のヘビさんの姿が見えました。

「このヘビはヒガシグリーンマンバです。さらに危険なヘビもいます。あちらの木をご覧下さい」


 今度は黒いヘビさんです。

「こちらのグリーンマンバは気性がとても荒く、動きもすばやいので大変危険です」

「日本でもハブさんとかマムシさんとかがいるけどそれとは比べ物にならないくらい危険なんだね」


「続いて肉食動物ゾーンを案内します」


ライオン、ヒョウなどの獰猛な動物さんたちが現れました。


「ライオンさんにもエサをあげてね」

「ライオンさんにもエサをあげれるんですか? ちょっと怖いです」

 もちろん今度は網越しです。


「ライオンさん、網越しなのに大迫力ですね」

「ここには珍しいライオンさんもいますよ」

「あっ、真っ白だ」

「あれはホワイトライオンといって世界中で数百頭しかいないよ」


「次は陸上で最も走りが速いチーターさんの登場ですよ」

「チーターさん、こんにちはーっ、駆けっこ1等賞だね」


ハイエナの群れも現れました。


サバンナの旅を終えて今夜泊まるホテルがあるオーストラリア街に移動します。

 

最初にオーストラリア野生動植物パークへ行きました。

連続して野生動物の観察です。

ガイドのお姉さんに案内してもらいます。


「本日は、オーストラリア野生動植物パークにお越しいただき、誠にありがとうございます。まず始めに羊さんの所から案内するね」

  

「わぁ~、羊さんの群れだーっ」


「次はカンガルーさんの所よ」

「ピョンピョン跳ねる姿かわいい。袋の中に入ってみたいな」


 私もつられて跳ねていました。


「あっ、あっちにもカンガルーさんみたいなのがいるよ。ちっちゃくてかわいい」

「あれはワラビーよ。小型のものはそう呼ばれているの。他にワラルーいっていう中型のものもいるわよ。ほら、あそこを見て」

「あの子がワラルーさんかぁ。写真撮ろう」


ユーカリの木が生い茂る森に入りました。

「ここはコアラの宝庫よ」

「わぁーい、コアラさんとこんなに近くで会えるの楽しみだよ」


目の前にいました。葉っぱを食べています。

「動物園で何度か見たことがあるけどいつも眠っているから、動いてるのを見たのははじめてかも」

「1日に20時間くらい眠ってますから。ここにはたくさんいますから、どれかは起きている可能性が高いわよ」

「動いている姿を写真に撮っておこう」

「コアラを抱いて記念撮影も出来るよ」


私の胸に抱いて記念撮影をしました。


「お姉さん、このコアラさん、肌触りもとても良くて、それに赤ちゃんを抱いているみたいで私、幸せな気分です」

「コアラさんの方もきっと喜んでいるわね」


撮影を終えるとコアラさんのお休みタイムです。

ぐっすり眠ってね。


「次は鳥さんの所よ」


鳥さん達の姿が見えてきました。


「エミューだ。あっちにも似たような鳥さんがいるよ」

「あちら側はヒクリドリよ。どちらも飛べない鳥だけどね」


危険エリアに突入です。


「ここからは大変危険だから、長袖、長ズボンに軍手を着用してね」

「オーストラリアも危険な生き物がいっぱいなんですね。ドキドキします」


「小さい虫にも注意してね。ほら、あなたのすぐ下」


 私の足元にクモがいました。

「きゃっ、なんか赤い模様があります」

「これはセアカゴケグモよ。他に毒蜘蛛がたくさん棲息しているから十分気をつけてね」


危険エリアをどんどん奥へ進んでいきます。


「あーっ、ワンちゃんだ。かわいい」

「あれは、ディンゴね。見た目によらず獰猛な犬よ」


「お姉さん、今度はヘビさんがいました」

「あそこにいるのはオーストラリアで最も恐れられている毒蛇、コモンデスアダーよ」

「怖いです。怖いです」

「私の後ろについてれば大丈夫よ」


「また別の種類が出てきました」

「あれは、世界最強の毒蛇ナイリクタイパンだね」


他にもタイガースネイクやブラウンスネイクと言った危険な毒ヘビさんたちがたくさん棲息していました。


最初に癒し系の動物さんたちを見たので、よりスリル満点な旅でした。


この街には野生動物達の危険エリアがたくさんありましたが、これらのガイドさんは特殊な訓練を受けている方なので一緒にいれば安全に危険エリアを楽しめます。


危険エリアを抜けると売店がありました。

ここでの購入品は動物さんたちの形をしたクッキーです。


ここから船に乗ってタスマニアの森へ移動します。

「危険エリアは抜けたけど水中には危険な生き物がたくさん棲息しているわよ。例えばあのクロガシラウミヘビ、あれは最強の毒液も持つヘビよ」

「シマウマさんみたいな模様ですね」

「それからあのアカエイも大変危険よ。尾に毒があるの」

「確か刺されて亡くなった人がいるんだよね。怖いです」


タスマニアの森へ到着しました。


「この島にはここでしか見れないたくさんの固有種がいるわよ」

「とても楽しみです」

「あそこにいるのがタスマニアデビルよ」

「お口開けると顔が怖いです」


「あそこにいるのがウォンバットよ」

「とてもかわいいです。抱っこしたい」


ウォンバットさんを抱っこしてガイドさんに写真を撮ってもらいました。

この島には川も流れていました。


「この川の中を見てごらん」

「カモノハシさんだ」

「この子は哺乳類だけど卵を産むのよ」

「大変珍しいですね」

「ここにはもう一種類卵を産む哺乳類がいるわよ」


 しばらく歩いて探しに行きます。


「ここの茂みの中を探してみて」

「ハリネズミさんだ」

「見間違えやすいけどこの子はハリモグラよ」

「ハリモグラさん、こんにちは」


珍しい生き物がたくさん見れて楽しい思い出が出来ました。

さて、ホテルへと向かいます。

ホテルの外観はシドニーのオペラハウスをモデルにしています。


ホテルの中にもユーカリの木が植えてあり、いろんな種類のコアラさんのぬいぐるみがたくさん飾っていました。

「このぬいぐるみ、欲しいなぁ」

「こちらのぬいぐるみはオーストラリア雑学ゲームの景品となっております。問題はコンピュータゲーム機で出題されます。点数によって取得出来るぬいぐるみの種類が変わります。もし全問正解されますとゴールドメダルが出て、一番大きなぬいぐるみと交換できます。もちろん挑戦はお1人様1回限りです」


早速チャレンジです。

コンピュータ音声に従ってゲームスタート


「ハロー、ボク、コアラだよ、ボクのお名前はキミたちが自由につけてね。これからボクの住んでいる国、オーストラリアについて雑学問題が出題されるよ。頑張って満点目指してオーストラリア博士になろう」

「このゲームのキャラクターのコアラさん、かわいい~、あの巨大ぬいぐるみ目指して頑張るぞ~」


「第1問、オーストラリアの面積はブラジルより広い。○か×かどっちかな?」

「う~ん、どっちだろ? たぶん×かな」


×のボタンを選びました。


「正解、おめでとう」

「やったぁ~」


「第2問、オーストラリアの首都は、どこかな? 1、メルボルン 2、パース 3、シドニー 4、キャンベラ 5、アデレード」

「3と選びそうだけど、確かキャンベラだったと思うよ」


4番を選びました。


「正解、おめでとう」

「やったぁ、2問目も正解、この調子で頑張ろう」


「第3問、オーストラリアの先住民の名前は? 1、アボリジニー 2、マオリ 3、イヌイット 4、インディアン 5、インディオ」

「1番だね」

 

 1番を選びました。

「正解、おめでとう」

「3問目も正解だ、やったぁ」


「第4問、北東部にある世界最大の珊瑚礁の名前は? キーボードで文字を打ってね」

「ここは選択肢じゃないんだぁ、でも簡単、『グレートバリアリーフ』だね」

「正解、おめでとう。次が最後の問題だよ」

「次で最後か、あと一息」


「いよいよ最後の問題だよ。ちょっと難しいけど頑張ってね。オーストラリアの最高峰の名前は? キーボードで文字を打ってね」

「……あーん、分からないよぉ~」

「残念、時間切れだよ。正解はコジオスコだよ」


シルバーメダルが出てきました。


「おめでとうございます。2等賞です」

「あーん、残念だったよ。あと一問だったのにーっ」

「最後の問題で間違える人は割と多いですよ」


ちょっぴり残念だけど2番目に大きなコアラさんのぬいぐるみを手にすることが出来たので嬉しいです。


ホテルの食堂は外にあります。

「エアーズロックだ。本物と大きさ変わらないんじゃないかな」


エアーズロック(のレプリカ)を背景にディナーを食べます。

私は食べれませんでしたが蛾の幼虫を油で揚げたアボリジニーの伝統料理、ウィッチティ・グラブという食べ物もありました。


「お嬢様、この周辺をバスに乗って周回するツアーがございますよ」

「行きます、行きます」


お食事を済ませて出発します。


「本日もオーストラリア世界遺産レプリカ周回ツアーバスをご利用いただき誠にありがとうございます。名前の通り全てレプリカですが本物のような造形になっております」

「ライトアップされていて、幻想的です。まるで本物みたいです」

「エアーズロックは別名『ウルル』とも呼ばれております」

「それでは次に世界最大の一枚岩『マウント・オーガスタス』のレプリカまでご案内いたします」

「えーっ!? エアーズロックが世界一ではなかったんですか?」

「あまり知られていませんがこちらはエアーズロック『ウルル』の約2.5倍の大きさを誇ります」

「初めて知りました」

「まもなく到着いたします」


 エアーズロックも山のように大きかったのですが、こちらはさらに度肝抜く大きさです。

 本物そっくりに再現されていました

「これからブルーマウンテンズの方へ向かいます」


 さすがにここは本物そっくりには行きませんでしたが、そこそこ満足出来ました。


「本日もオーストラリア世界遺産レプリカ周回ツアーをご利用いただき誠にありがとうございました。またのご利用をお待ちしております」

 


お土産屋さんで先住民アボリジニーの方がブーメランを売っていました。

 記念に購入です。

「笛も売ってる」

「これはディジュリドゥという大昔からある楽器じゃよ。ユーカリの木で出来ているんじゃよ」

「吹いてみたいな」

「ダメじゃ。この楽器は女性に吹かせることは出来んよ」


この楽器は女性が吹くと妊娠したり、流産するとか云われていて、タブー視されているみたいです。


汗をいっぱいかいたのでお風呂へ直行します。

 ここも和風の露天風呂でした。


「体重計が置いてある。この3日間ずっといっぱい食べてたからな。なんか心配だよ」


 恐る恐る体重計に乗ります。

「……うわぁーん、やっぱり増えてるよーっ」


 当然といえば当然の結果でした。

 

 お部屋に戻って明日の準備です。

「今日も刺激が多かったよ。明日でこの旅も終わりか。寂しいな」

 今回の旅の中でたくさんぬいぐるみが増えました。いっしょに眠ります。


8月2日 今日で最終日です。


朝食を食べた後はニュージーランド街へ向かいます。

「キア・オーラ、日本のお客様」

街に入るとマオリの皆さんが迎えてくれました。

鼻と鼻を引っ付けるのがここでの挨拶です。

 少し恥ずかしかったです。


 この国も温泉大国です。


ニュージーランド野生動物公園に来ました。

 ここのガイドさんもマオリの人です。


「オーストラリアの羊さんとは種類が違うね」

「オーストラリアではメリノ種、ニュージーランドではロムニー種が多くなっているよ」

「あっ、あの鳥キーウィさんだ。果物の名前みたいだね」

「こいつの名前は鳴き声からつけているんだよ。もっと面白い名前のもいるよ。あいつは『オイスターキャッチャー』だ」

「牡蠣を食べるんですね。色もオイスターソースみたいです」

「空を見上げてごらん」

「わぁー、とても大きな鳥ですねーっ」

「あいつは『ロイヤルアルバロス』と言って翼を広げると3メートルは越す世界最大の鳥だ。海岸にいくといっぱいいるよ」


 海岸へ向かいました。

「ロイヤルアルバロスさんの群れがいっぱいます。壮観です」

「ここはペンギンもたくさんいるよ。あいつは『リトル・ブルー・ペンギン』だ。オレたちの言葉では『コロラ』だよ」

「ちっちゃくてかわいいーっ」

「こいつは世界最小のペンギンだからな」


資料館もありました。

「ここにはかつてニュージーランドに棲息していて残念ながら今は絶滅してしまった動物達の剥製が展示されているよ」


「こいつは『モア』だ。我々のご先祖様が大量に狩猟してしまったため絶滅してしまっあんだ。そのためこいつのてんてきだった『パルパゴルニスワシ』まで餌がなくなってしまいこいつも同時に絶滅した。生きていくために狩猟も仕方なかったとは思うが生態系を破壊するまでやってはいけないな」


記念品として、マオリのアクセサリー『グリーンストーン』をいただきました。



これから今回の旅の締めくくり、船に乗って島の方へ向かいます。

南国のようなエメラルドグリーンの美しい海です。

港から船に乗り、たくさん島がありますが、まずその中の一つパラオ島へ向かいます。

船のエンジンはここの海に棲息するジュゴンなどに配慮して音がほとんどしないように特別に作られています。


水中翼船に乗り、30分ほどの短い船旅を満喫します。


「運が良ければジュゴンの姿を見ることが出来ますよ」

「私、ジュゴンって生で見たことが無いから楽しみだなぁ。本当に会えるのかな」


 しばらくするとジュゴンさんが現れてくれました。


「きゃぁ~ん、ジュゴンだぁ、生まれて初めて目にしたよ。ジュゴンさん、元気?」


ジュゴンさんは私の方をじっと見つめてくれました。嬉しいです。


ウミガメの群れが現れました。

「ウミガメさん、こんにちは」

「このウミガメはタイマイと呼ばれています。あちらのはヒメウミガメですね」


今度はクラゲの大群が現れました。クラゲさんは刺されると怖いですが見ていると心が和みます。


「ジンベイサメだーっ、」

「こちらが世界最大の魚です」

「クジラさんとかは哺乳類だもんね」

「この海ではシロナガスクジラもご覧になることが出来ますよ」


 全長30メートルを超えるシロナガスクジラさんが姿を現しました。 


「うわぁ~、間近で見ると迫力満点です」


 写真を撮ったのですが当然全体は写りませんでした。


船上に出るとイルカさんの群れがたくさん飛び跳ねているのを目撃しました。

浅瀬のさんご礁もとても美しかったです。


1時間ほどでパラオ島に到着しました。

「南国ムード満載だ。ヤシの木がたくさん」

「パラオ島へようこそ。冬になると雪化粧したヤシの木が見れるよ。本来熱帯の木だから栽培がとても大変なんだけどね」

「四季がある南国の島って変な感じがしますね」


ガイドさんに案内してもらい、郷土料理が食べられるレストランへ行きました。ここでお昼ご飯を食べます。

「Ungil chodechosong,こんにちは、日本のお客様。ご注文は?」

「おすすめの物をお願いします」


「当店自慢のマングローブガニとロブスターです」

「大きいカニさん、美味しそう」


食べていると、私の席の隣に、奇怪なお料理を運んできた女の子がいました。

なんとスープにコウモリさんが入っていたのです。

「あっ、じろじろ眺めてごめんなさい、あまりにも馴染みのない食べ物でして……」

「珍しいでしょう? これは『フルーツバットのスープ』といってここの郷土料理よ」

「はい、初めて見ました」

「あなたは日本人だね? お名前は?」

「私は朝霧雲雀です」

「わたしの名前はサユリよ」

マッシュルームカットの髪型に水色の大きな目、褐色の肌のとてもきれいな方です。

「サユリさんって日本人みたいな名前ですね」

「パラオでは日本式の名前をつけている人も多いのよ」

「へぇー、そういえば日本にもレナとかエミリとかレオとかっていう外国人風のお名前の方もいますね」


私もスープをいただいてみました。見た目が恐ろしいのですが美味しかったです


お土産屋さんに入ると屈強な女性が売り子をしていました。


「Ungil chodechosong,こんにちは、良いものいっぱいだよ」

「こんにちは、わぁ~、いろんな形の彫刻がありますね」

「これはパラオの工芸品『ストーリーボード』よ。発祥は日本なんだけどね。パラオの神話などが彫り込まれているんだよ」

「エイの形のを下さい。あっ、この首飾りもかわいい」

「こちらの『ウドウド』っていう首飾りは昔はお金として使われていたんだよ。女性だけが身につけることが出来るわよ」

「欲しいです」

「とてもお似合いよ、あなた」

「ありがとう、それにしてもおばさん、とても強そうですね」

「パラオとかその周辺の国々では母系社会が多いからね。そうだ、いいものを見せてあげるわよ。エイヤッ」


売り子のおばさんは、固いヤシの実を素手で軽々と剥いてしまいました。

「凄いです。おばさん」

「あなたもこれくらい強い女になるのよ」


 私にはとても無理です。


いよいよこの街とお別れです。最初に降り立った翡翠塚中央駅に戻り、帰りの列車に乗ります。とても寂しいです。


「それでは、発車いたします」

「あ~、ついにこの街とお別れだよーっ」


名残惜しいです。とても寂しい気分です。

今回の旅で巡った場所は全体の1パーセントにも満たない極々一部分だけでした。

この街はどんどん大きくなっているので一生かかっても全ての施設をまわることは出来ないような気がします。

とりあえず楽しい世界? 旅行は終了して日本に帰国? します。

「今回いろんな所回ったけど全部急ぎ足だったよ。でも世界中のいろんな国々の人々とたくさん出会えていろんなお話が出来て嬉しかったなぁ。これ、全て日本国内での出来事だったんだよね。信じられないよ」


 

この街には、国境がありません。紛争や飢餓といった世界の負の部分は存在しません。

どの方も日本文化をこよなく愛し、自然を愛するとても親切な人たちばかりでした。

地球の理想の姿がここにありました。


また何度でも何度でも遊びに行きたいです。

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ラノベ新人賞長編初挑戦作。2008年10月1日、第14回スニーカー大賞〆切当日に応募『新・異国文化体験記』投稿以来修正一切無し。こんな酷い作品からでも一次通過を30回以上経験する所までは成長出来ます 明石竜  @Akashiryu

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