言の葉すし

吉岡梅

言の葉すし

 硬めに炊いたご飯を大き目の皿に移して、米酢・砂糖・塩を混ぜたすし酢を全体に回しかけ、お米を切る様にしてなじませます。ぱたぱたとうちわで扇ぎながら作業するのが、なんだか職人になったようで楽しいのです。しばらく扇いでは切って、扇いでは切ってをくりかえして人肌程度くらいになったらOK。あまり切りすぎるとご飯が牡丹餅ぼたもち方向に行ってねっちょりしてきてしまいますが、今回ばかりは、それもありです。なにせ、あとで押しますから。


 ひと口大に握って、スーパーで買ってきたしめ鯖やサーモン(お刺身でなくスモークの方がお手軽)を載せていきましょう。お魚だけでなく、甘く煮たしいたけもグッド。お稲荷さんとか、かんぴょうとか、甘いお寿司ってたまに凄い食べたくなりますよね。


 そして、あらかじめ塩漬けしておいた言の葉でお寿司を包んだら、型の中にきっちり、みっしりと並べていきましょう。型はバットでもタッパーでもいいですし、なければ、お皿でもいけなくはないです。最近は100均に型が売ってるので、それを買ってきちゃうのが手っ取り早いです。ちなみに、型に入れるときはラップを敷いておくと後で取り出しやすいです。


 並べ終わったら、蓋をして、一回ぎゅっと押します。あとは重しになるような物を上にのっけて、冷蔵庫で2時間くらい放置すれば言の葉すしの完成です。お茶を添えていただきましょう。


 食べるときには、もちろん言の葉は外します。うっすらと言の葉の香りをまとったお寿司は、なんとも爽やかでおいしいのです。言の葉によっては、すこし癖が出てくるので、食べる方との相性があるのはご愛敬。自分の好きな味を食べ続けるのもよし、違う味を比べながら楽しむのも、また、良しなのです。


 ときには、作ってくださった方の思惑とは外れた思いに受け取られるのが、言の葉すしの困ったところであり、面白いところです。なにせ言の葉はうっすらとしか届きません。食べる方の歴史や、環境や、気分や体調によってそこから何が産まれるのかは、本当のところ、誰にも分らないのかもしれません。


 お手軽で、ひとつを一口で食べられるので、ついつい食べ過ぎてしまうのにはご注意を。暑気払いと意欲増進のための一品ですが、それでお腹がいっぱいで動けない、なんて事になったら本末転倒です。なにごとも、ほどほどに、ですね。とはいえ、もうひと口だけ、と、しいたけのお寿司に手が伸びてしまうのですけれど。


 そんなこんなで酷暑に残暑を乗り切ってまいりましょう。さ、今日も1日初めましょうか。

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