Interlude 2
零れてしまった思い出、ふたつ。
彼と私は、互いに趣味が合う、ということでだんだん仲良くなっていった。放課後は毎日彼の家の近くにある公園に集まり、ブランコやベンチに座りながら最近読んだ本についての感想を言いあったり、本を貸したり借りたり。
六年生、雪融けの春に出会った私たちは、夏になると一緒にどこかに出かけるくらい親密な関係になっていた。
夏休みには、一緒にさっぽろテレビ塔に出かけたり、科学館に行ったりと、最後の夏を堪能していた。
夏休みの最後には、彼と映画館にも行った。お互いが好きな作品が映画化された、ということもあり、僅かなお小遣いを使って見に行った。
大きいスクリーンで見る映画はまさに圧巻そのもので、終わった後に入ったファストフード店ではお互い醒めない夢の感想を漏らし続けた。「あのシーン凄かったね」「あの小説のクライマックスの場面、映画だと小説以上に盛り上がっていて鳥肌立った」とか。
彼の他にも私は何人か友達はいたけど、こんなふうに小説や映画について話の合う友達は彼しかいなかった。
だから、かな。いつしか私は、彼のことをもっと知りたいと思うようになった。パッと見同じクラスに友達がいないように見える彼のことを。
どうして真っすぐ家に帰って、この公園で本を読んでいるのか、とか。
私以外に友達はいるのか、とか。
……一人でいるのに、困った人を見ると助けているのは、どうして? とか。
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