転生したら、弟冒険者で兄ゴブリン!?
よしの
プロローグ
俺は真田 広樹、二十四歳、警察官で交番勤務をしている。
今日は非番の日で、eスポーツ会場に来ている、とは言え俺が出場している訳では無い。
弟の悠希の応援に来ている。
悠希は二十一歳で現在大学を休学して、プロeスポーツ選手として活躍していたのだが、最近調子を落としていて、今日負ければプロチームからの除名を申し渡される事になっている。
何とか頑張って欲しいと、応援に駆け付けたのだが、状況はかなり悪い。
「ユウキ選手、ここから逆転となるか!!!
あぁ!!っと、ハート選手のコンボ炸裂!!
ハート選手の勝利!!!
ユウキ選手まさかの二回戦敗退が決まってしまったぁぁぁ!!」
アナウンサーの大きな声が響き渡り、悠希の敗北が伝えられた。
悠希は肩を落として試合場から降りて来たので、俺は出来るだけ笑顔で悠希を励ます事にした。
「悠希、この後予定はあるのか?」
「兄貴、いや特に無いが・・・」
悠希の表情は暗い。
「それなら飯を食いに行こう、同僚から美味しい蕎麦屋を教えて貰ったんだ!」
「今はそんな気分じゃないんだが・・・」
「落ち込んだところで状況が変わる訳じゃないんだ、美味しい物食って、次どうするか考えよう」
「分かったよ・・・」
悠希は渋々頷いてくれた。
少々強引だったが悠希と会場を出て、止めてあった車に乗り込み走らせた。
「ちょっと遠いが構わないよな!」
「兄貴に任せるよ」
高速に乗り、少し遠出して、山奥の曲がりくねった細い道を走らせていた。
「なぁ兄貴、今後どうしたらいいと思う?」
今まで沈黙していた悠希が、突然聞いて来た。
「そうだな、大学に復学してから、ゆっくり考えればいいんじゃないのか?」
「大学か~、そうなるとeスポーツは諦めるしか無いな~」
「両立は出来ないのか?」
「俺はそんなに器用じゃねぇからなぁ・・・」
「そうか、まぁ俺が結婚するまでは、悠希のやりたいようにしていいぞ」
悠希とは俺の部屋で暮らしている、プロeスポーツ選手としての収入が入る様になってから、親の仕送りも断ったので、大学に復学するとなると、俺が生活を見てやらないといけない。
「兄貴、結婚の予定があるのか?」
「いや全く無い!」
警察官としての仕事が忙しいのもあるが、大学を卒業してからというもの、出会いが全く無かった・・・。
「それなら当分兄貴の世話になるぜ!」
「おう!」
悠希が元気を取り戻してくれたようで良かった。
「しかし、生まれ変わって、人生やり直してぇなぁ」
「そうだなぁ、俺も警察官じゃない人生もあったのかもしれないな」
俺は特に警察官になりたかった訳では無かったのだが、小学校の頃から続けて来た剣道をずっと続けて行きたいと思っていたら、警察官になるのが良いと師範代に言われたからだ。
「兄貴はやり直せるとしたら、何になりたい?」
「やり直せるとしたらか・・・」
やり直したとしても、剣道はやりたいと思う・・・。
「もし叶うのであれば、戦国時代とか、江戸時代で武士になりたいなぁ」
「兄貴は相変わらず剣道馬鹿だなぁ」
「そう言う悠希はどうなんだ?」
「兄貴が戦国時代なら、俺は異世界で冒険者になりたいな~」
「おっ、いいねぇ、それなら俺が前衛で剣を振り回すから、悠希は後方から援護してくれ」
「分かったぜ、兄貴の背中はちゃんと守ってやるよ!」
「「あははははは」」
二人して大いに笑った、いつもの悠希に戻ってくれたようで良かった。
そこで運転中に、悠希の表情を見たのがいけなかった。
「兄貴危ない!!」
悠希の声で前を見ると、車の前に何かの動物が飛び出して来ていた!
俺は避けようと慌ててブレーキを踏みこみ、ハンドルを切った!
車はスピンして、慣性の法則に従って車は真っすぐ道路脇の崖へと吸い込まれる様に落ちて行き。
強烈な衝撃を体全体に何度か受けた所で、意識を失ってしまった・・・。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます