完全なる自殺スイッチ(続編)

ぬゑ

完全なる自殺スイッチ②



 男は、半信半疑ながらも考える。


(もし本当にそんなことが可能なら……)


 ここ最近の自分の生活を振り返る。

 退屈な毎日に、窮屈な生活。楽しいことも気分が高揚することもなく、まるで機械のように日々を消化するだけの毎日。

 このまま生きていたとしても、何かが劇的に変わるとは思えない人生。

 辟易してて、うんざりだった。


「……どうせただの実験なんだろ?」


 まるで自分に言い聞かせるよえに呟いた男は、震える指でボタンを押した。


「……」


 心臓の脈動を強く感じる。背中に嫌な汗が伝い、口の中が乾いていた。

 しかし、待てども待てども変化は訪れない。苦しくなることも、痛みに襲われることもない。

 何も変わらない。全くもっていつもの自分でしかなかった。


「……なんだよ、チクショウ……」


 悪態をつく男だったが、心の奥底では安堵する自分もいる。

 複雑な心境のまま、男は布団に潜り眠りにつくのだった。

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