宇宙船

勝利だギューちゃん

第1話

科学の進歩というのは、とにかく素晴らしい。

そして、憎らしい。


科学者の計算により、今から5年後に巨大隕石が地球に衝突をし、

跡形もなく、無くなるらしい。

そこで、科学者たちは巨大な宇宙船の開発に乗り出した。

幸いなのか、不幸なのか、地球の生物が住める星が、見つかったらしい。


見つからなくていいのに・・・


そして、宇宙船は出来あがった。

そこに、出来る限りの生物を乗せて、その星へ避難することになる。


でも、誰も死にたくないので希望者は殺到。

よって、抽選によって選ばれる。


大事な命を、抽選で決めるのか?

俺はそんなのは嫌なので、辞退した。


地球と運命を共にする。

これも、悪くない。


抽選に選ばれた連中は、よろこんでいた。

人間だけではない。


あらゆる生物も、喜んでいたと思う。


まあ、人類は生き残れたこと、

他の生物は、子孫が残せた事を、喜んでいると思う。


ただ、海の生物は運べないので、DNAを持っていく事にしたようだ。


そして、出発の日。


選ばれた生物は、笑顔で乗りこんでいる。

残った生物は、それを見送る。


僕も、笑顔で見送った。


「達者でな」


そして、新たな星へ向けて出発した。


「あの連中もかわいそうにね」

聞き覚えのある声がした。

振り返ると、仲良しの女の子がいた。


「君も、辞退したんだね。私と同じように」

「まあな」

「どうして辞退したの?」

「地球と運命を、共にしたい」

「それだけ?」

やはり気付いているようだ・・・


「宇宙船が、計算した星につくまで、数千年・・・

それまで、空気が持つかな」


そう、あの連中は辿り着くことんなく、滅びる。


生き残る事も、子孫を増やすことも、出来ないのだ。


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宇宙船 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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