Strange Days
明日野莉央
Case.00-1「邂逅」
「やり直せ!」
怒号が響く。僕はもう聞き慣れた。いつも通りのことだ。
「何度も何度も言わせるんじゃない!お前は何度言ったら学習するんだ!今日も残って修正してもらうからな!」
ああ。僕は要領が悪いから失敗ばかりだ。これで上司に怒られたのは何回目だろうか。この会社に入って1年が経った。
「まーた、怒られてやんの。××ちゃーん。」
「いつになったら学習するのかなー。××ちゃーん。」
これも、いつものこと。彼ら(同僚ども)は僕をからかうことで彼らのストレスを発散しているのだろう。僕の名前が女の子っぽいし、それもあってからかい甲斐があるんだろうな。
僕の名前は××××。去年大学を卒業して、今はこの通りダメな会社員。会社でも孤立している。友達もそんなにいない。いや、一人しかいないかも。とは言っても小学生以来会っていないのだけれど。
僕はずっと幸運とは無縁の人生を歩んできた。僕が生まれたと同時に母親が亡くなり、父親はそのショックで引き籠りになり、のちに自殺。親族に引き取られるも「悪魔」などと言われながら育ってきた。幸せなんてものは程遠いもので、僕は一生出会うことがないであろうものだ。そう思っていた。
小学生のころにある出会いがあった。僕の唯一の友達。「彼」といる時だけは嫌なことすべて忘れることができた。暗い自分がいなくなっていた。幸せな気分になれたのだ。たくさん遊んだ。互いの秘密も語り合った。だが、別れの時は突然やってきたのだ。「彼」は突然、姿を消した。
それからはまた元通り、不幸な人生を歩み続けて今に至る。ほら、今だって。
「てめえ、何見てんだこの野郎。ぶっ飛ばされてえのか。」
見てないんだけど。僕が何をしたというのか。理不尽に殴られる。蹴られる。僕の人生なんて、こんなもんだ。
「ただいま。」
誰もいない我が家に、声をかける。ここ数年は独りで生活している。
コトン。
ポストに何か入ったようだ。
「お前の人生、間違いじゃないぞ
-M.S」
何かのいたずらか。外を見てみる。すると、一人の女性が立っていた。
「久しぶりだね。''はるちゃん''。」
Strange Days 明日野莉央 @asno_rio
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