終焉の花

悦太郎

第00話

「あらあなた、お花だったのね……」

彼女の最期の言葉だ。やっと気がついたのかい、と僕は彼女に笑いかけた。

今思い出すと、上手く笑えていたか少々不安になる。


──女の子って、綺麗なものが好きだろう。

豪華絢爛な着物に腕を通して、舞を舞ったりするのが夢だって言うじゃないか。


 目の前で眠るような彼女をみて渋々思う。人には、必ず終焉しゅうえんが訪れる。それならその亡骸の上に、華やかな蝶を添えてやろう。彼女がいつまでも花でいられるように。


 彼女に一度手を合わせると、僕は踵を返した。辺り一面に、甘い香りをはなむけて。


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終焉の花 悦太郎 @860km

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