第2話 話は急だった
「誰にでも欠点はあるしな」
恋愛って思うようにいかないね~とつぶやくと、
おまえの気が済むまで今日は付き合ってやるよと言われ、私たちはオフィス街の裏通りにあるワイン酒場で飲んでいる。
「
「あやめの生き方はちょっとおとなげないからな」
言い返せないでいると、慶一郎は今のおまえ、幸薄そうな顔してるなぁと苦笑した。
「あんただって振られたら弱気にもなるわよ」
「残念だけど俺は恋愛とかってそつなくこなす方だからそういう経験ないんだよな」
「慶一郎みたいな人が恋愛上手くいってるって、なんか不公平だわ」
すると彼はうーんと唸ると上手くいっているというか、最近彼女とは会っていないと言った。
「仕事忙しいの?」
「だったらあやめと会ってないよ」
何か聞いてはいけない理由があるのかと思い、しばらくフリーズしていると、慶一郎は吹き出して静止画像を見ているのかと思ったと言った。
「たいした理由はないんだけど、あんまり手応えがなかった」
「え、ごめん。さっぱりわからない」
私がお手上げだという表情をすると、彼はそうだなと考え、例えばあやめは時々俺が理解できないことを言ったりやったりするだろうと聞かれた。
「えっ、そうなの?」
「それが俺にはけっこう面白いというか、暇つぶしになる」
若干バカにされているような気がしたが、慶一郎のこういうところは慣れっこだ。
「じゃあ今度は私みたいにあんたの笑いを誘うこと付き合ってみたらいいね」
すると彼は真顔になってそれも悪くないなと言った。
「いやいやいや・・・」
「よしっ。話は決まった」
酔って勢いづいている慶一郎を阻止しようとしたのだが、もう後には引けない感じになっていた。
私は諦めて、後日しらふのときに話したら笑い話になるだろうと高をくくっていたのだが、そうもいかないと分かったのはしばらくたってからのことだった。
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