クソ弱岡本くんは仲間意識がないので自分以外は消耗品です

黒煙草

僕、岡本 深夜にとって

僕、岡本おかもと 深夜しんやにとって身の回りの不幸は常に付き物だった


幼稚園の頃に両親は、僕をかばって煽り運転手に殴り殺された


死因は、肋骨が不幸にも心臓に突き刺さったことが原因による失血死


あおり運転をした者は、僕の両親の死を確認せずに僕を睨んで悔しがりながらも逃走したものの、高速道路での犯行だった為に、車に乗る際にドアごと4トントラックに撥ねられ即死した


両親の死後、僕はお父さんのお爺ちゃんの家に引き取られた


最初は優しく接してくれたものの、お父さんが死んだことに対して夜な夜な泣きごとを吐き、おばあちゃんの制止を振り切って僕に暴力を振るうようになった


小学生に上がる頃には身体が痣だらけだったが、上手いこと顔だけは傷を負わせないようにしていたのが、お爺ちゃんに対する印象だった


身体のアザがバレたのは体育の時間で、お爺ちゃんは体育をするなと学校側に要請していたがクラスメイトに無理やり剥かれ、アザがバレたのだ


PTAが動き出し、お爺ちゃんは捕まった


だけど牢屋には行かず、お爺ちゃんがたどり着いたのは葬式場だった


死因はパトカーに無理やり乗せられる際に心臓発作を起こしたことが原因だった


お爺ちゃんにはそういった持病はなかったのだけれど、暴力とは別に暴飲暴食、特に酒を浴びるように飲んでいたことが原因だと思われた


その後を追うようにおばあちゃんも死んだ


安楽死とは行かず、お爺ちゃんが死んでから痴呆症になり、夜に外に出て徘徊しているところを自動車に撥ねられてショック死した


もちろん撥ねた自動車側もおばあちゃんとぶつかった際に慌ててハンドルを切って電柱と正面衝突して死亡している



次に育て親の代わりとなったのはお母さんのおばあちゃんだった


おばあちゃんのお爺ちゃんは既に他界してたけど、僕を嫌悪していたのか中学生になってからは一人暮らしをさせられた


家事全般の炊事洗濯掃除は一人でやったので、中学卒業までにはどこに出ても1人で生きていける様にはなれた


中学2年の頃におばあちゃんが転落事故を起こしたのをつけ加えておこう


原因は年齢によるアクセルとブレーキの踏み間違いと警察は言ってはいたが、僕が引き取られていると聞いて警官が顔色を変えたのは記憶に残っている


『呪いの子』『忌み子』『関わると死ぬ』

小中学校とそう言われ続け、虐められていたので友達はいなかった


僕の顔立ちとしては死んでいったみんなから幼い顔立ち、童顔と言われたので多分子供っぽい顔をしているのだろうと自負している


住んでいたところは発展途上の田舎ということもあり、都会には僕の噂は流れていなかったので高校は指折りの進学校に入学した


高校生になった今現在、入学式を終えた僕はクラスに入り先生の話を聞く


仲良くしなさい、クラスメイトの名前は覚えるように、常に笑顔で


そんなくだらない説教を話半分聞き流し、自己紹介を終えて授業が始まる


幸いと言っていいものか、僕の名前『岡本 深夜』の名前を知るものはいなく安心しきっていた


前の席の子に話しかけられた時は、悩んだ末に仲良くなったのが間違いだったかもしれない


入学して1週間経たずにその友達だったモノはいじめの対象となり死んだのだから


遺書はなく、上履きを綺麗に揃えての自殺に先生は不可思議に思い、いじめていた子を探し出し問い詰めた


結果として見つけれたものの、いじめていた生徒の理由に、僕が含まれていたのだった


その後、いじめていた生徒は退学処分されたが、他の学校が引き取ることも無く自殺したのは小さく掲載されていた新聞記事で読んだ


先生は独自に僕のことを調べたらしく

『辛かっただろうな』『今度は俺がついているから』

と叶わぬ願いを告げて死んだ


原因は多忙を極めた部活動の指導に熱がはいり、疲労が乗算され夏休み中にベッドにて、眠りから覚まさなくなったらしい


新米熱血教師と他の新人教師から敬われ、さらに熱が入ったことも原因のひとつともされた




こうして、僕に味方がいなくなった夏休みの終わり


9月に入り高校1年二学期が始まった時だった


死んだ教師の次の代役としての先生が教室の横開き扉を開けようとしたところ



──開かなかったのだ


最初は僕のクラスメイトのイタズラかと思われたが、鍵は施錠されておらず


また、教室内の中心部から光始めた光体が生徒たちを包んでいく


僕もその光に包まれ、視界がホワイトアウトした






━━━━━━━━━━━死の子よ、憐れだな


哀れなのは世界だと思うけど?


━━━━━━━━━━━我らの遊びに巻き込まれ、また周りを死の海にさせるとはな


それは個人的な感想であって、僕は不幸じゃない


━━━━━━━━━━━私はお前をずっと観てきた


僕はあなたを知らない


━━━━━━━━━━━だから分かるのだ、お前の辛さを


人の気持ちを勝手に覗くなよ、“神様“



……



夢を見ていたような気がする


不思議と涙を流した跡もあった



教室にいたはずなのだが、なぜか土煙がまう荒野で日の光を浴びていた


周りを見渡すが僕一人のようで、立ち上がり学生ズボンに付いた砂を落とす


視界は良好ではない、土煙が遠くを遮るのだ


太陽が真上にあるので、どちらが西でどちらが東かも分からない


取り敢えず歩くこと数分か、前方に人の集団が見えた


まず場所と時間を確認しなければならない


教室にいた時は午前中ではあったが、太陽が真上ならばお昼時まで眠っていたのかもしれない


空腹を満たすことも優先だ、そう思いながら人の形をした集団に歩いていく




サボテンの群れだった






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