この物語を見るときは部屋を明るくして画面から2m以上離れて、トイレを済ませてから見てください
ちびまるフォイ
本当の敵は己自身
「まさか……お前は……!!」
「そう、元はお前の仲間だったライズさ。
あのとき王女を救えなかった自分を許せなくなり
闇の波動に飲み込まれてこの姿になった。だが悪い気分ではない」
「そんな……どうして……!」
「どうして? すべてはこの世界の人間が原因じゃないか。
愚かな人間どもは平和を願う王女の命を奪い力と力の闘争の世界を望んだ。
だったら我がその望む闘争と混沌の世界を与えてやろうというのだ」
「くっ……」
「最初はそれでも世界を正しい方向に導こうとも思ったさ。
しかし人間はけして変わらない。たとえ間違った力でも、呪われた力でも
この世を変えるために大きな力が必要だった。そして闇の王ゼハーに――」
「待て!! ひとついいか」
「なんだ?」
「……その話、あとどれくらい続く?」
剣士はぷるぷると小刻みに震えはじめていた。
「お前まさか……」
「トイレいきたい」
「は?」
「ト゛イ゛レ゛い゛き゛た゛い゛」
「ど、どっち?」
「(大)feat.(小)」
「お前……この最終決戦の因縁の対決に水さすなよ!」
「うるさい! もとはといえばお前が"場所をうつそう"とか行って
こんな人里離れた荒野にこさせたのが悪いんだろ!!」
「我のせい!? いや、そもそも我の城に来るまでにある
サービスエリアでちゃんとトイレくらい済ませてから来いよ!!」
「だって和式だったんだもん!!!」
「ぜいたくだな!!!」
「今思えば、こんな限界状態になるくらいなら
和式でも済ませておけばよかったと心から思う。
だが……今さら過去を振り返ってもしょうがないじゃないか!?」
「なんで戦いが始まる前に限界に達してるんだよ」
暗黒魔剣士ライズは諦めたように遠くを指差した。
「もういいから、そこの、岩陰で済ませてこい。
人里離れたって言うくらいだから見られる心配もないだろう」
それを聞いた勇者は青ざめていた顔を真っ赤にした。
「岩陰でこっそり済ます!? バカ言え!!
この戦いが終われば勝利にわいた村の人がやってくる!!
そこに人糞あったらドン引きされるだろう!?」
「知らんよ! なんでそもそも勝つ前提なんだよ!」
「しょうがないな……もうこれしか方法がない」
「なんだなにかあるのか」
「日を改めよう」
「え」
この提案には魔剣士ライズが待ったをかけた。
「日を改める? 冗談じゃない!
いや我もう結構な過去を話したんだけど!?
完全に今のクライマックスな状態を逃して、後日再集合するってこと!?」
「別にいいじゃないか。今度は俺もちゃんとトイレ済ませるし。
明日の15時くらいにまたここ集合で」
「嫌だよ!! 死にゆく相手だからと思って全部バラしたのに!
それを持ち帰られるんだよ!? 冗談じゃない!!」
「お前は!! 万全な状態の俺と戦いたくないのか!?」
「勝手にコンディション乱してるのはお前だろう!!」
「昨日食べた生牡蠣を悪く言うんじゃない!!!」
「言ってないわ!!」
「もういい!! すぐに勝負を決めてさっさとトイレに行ってやる!!」
「めっちゃ内股じゃねえか!」
「あっ」
勇者の瞳から光が失われた。
勇者の脳裏にはかつて訪れた美しい風景や人々の笑顔が浮かぶ。
「あの……勇者さん……? なぜ中腰に……?」
「……」
「お前……まさか……!?」
その瞬間、勇者の白刃がきらめいた。
「スキありぃ!!!」
「ぐああああっ!!」
致命傷を受けた暗黒魔剣士はついに討ち倒された。
「油断したようだな。すべては演技だったのさ」
「見事だ。相手の不意をつくのは戦いの基礎。
フッ……我がお前に教えた最初の心得だったな」
「まだ死ぬなよ。お前には聞きたいことがある」
「いいだろう。どうせ最後だ、なんでも答えてやろう。
魔王ゼハーの居場所か? それとも王女の亡骸のありかか?」
勇者は顔を横にふった。
「お前のズボンとパンツのサイズっていくつ?」
「やっぱり漏らしてるじゃん!!!」
この物語を見るときは部屋を明るくして画面から2m以上離れて、トイレを済ませてから見てください ちびまるフォイ @firestorage
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます