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「優秀な人材は、三上波瑠さんだけじゃなかったんですね」


「波瑠さんを知ってるの?」


「営業の仕事で、beautiful loungeに立ち寄った時にお見掛けしただけです」


「そうなんだ。波瑠さん元気だった?」


「はい、やっぱり美男ですね。東京の人は広島の人より垢抜けとる。ばりかっこええ」


「ばり? 広島の方言面白い。類も飲むと広島弁になるんだよ」


「そうなんじゃ」


 恭介はビールを飲みながら、私を見つめた。


「恭介さん、飲み過ぎだよ。明日は初仕事だから、もうこの辺でやめたら」


「類、恭介さんの歓迎会だから、別にいいんじゃない? もっと波瑠さんの話も聞きたいし」


 すでに方言が飛び出している恭介。これ以上飲ませると何を話すかわからない。


 これは危険だ……。


「本店商品部に異動になった類が、beautiful lineの中でもトップと言われている美容室でアシスタントをしているなんて、予想外じゃった。美容室部門のスタッフは全員美男だと思っとったから」


「規定に美男と明記してあるわけじゃないし。それに類はヘアメイクアーティストではないし、あくまでもアシスタントだからね。それに恭介さんだって、美男限定なら配属されない。わ、わ、すみません」


 捺希は本音を漏らし、慌てて口を押さえた。


「あはは、捺希さんは正直じゃね。俺は確かに美男じゃないけぇ。フツメン、いたってフツーのメンズ。でも愛嬌はあると、おばちゃん達によく言われる。それが俺のチャームポイントじゃけぇ」


 恭介は捺希にニコッと笑いかける。確かに目尻は下がり、パンダみたいに愛嬌がある。


「恭介さんは面白い人ですね。確かに憎めない、ぬいぐるみ系男子ですね」


「ぬいぐるみ系ってなんなん。それ褒めとらんじゃろ。まあ、可愛いけぇ、ええけど」


 諸星は恭介のグラスに乾杯し、二人で盛り上がっている。

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