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 四人の視線が一斉に私に向く。


 ……ていうか、三上以外全員上半身裸だし。眩しくて瞼を開けていられない。


「掃除してきます」


「類」


 うわっ、鳴海店長に呼び止められた。


「波瑠と店内でキスをしたのか?」


 単刀直入だな。

 どう答えたらいいのよ。


 助けを求めるように、チラッと三上の顔を見る。


「昨日掃除していて類が躓いたんだ。それを俺が支えた。そうだよね、類」


「はい、そうです」


「わかった。本部にはそう伝えるよ」


 こんな嘘を鳴海店長もみんなも信じたのかな?


 三上の信頼は厚いんだね。


 とりあえず、私のクビが繋がった……。


「悪いが当分全員で開店準備や、閉店後の清掃をしてくれ。類と二人きりだと、また悪い噂が立つ可能性がある」


「はい、鳴海店長了解しました。ほら、類、ポケーッとしない。開店時間になっちゃうよ」


 諸星にせっつかれ、慌ててロッカールームを飛び出した。


 開店三十分前、五人で手分けして清掃し、予約の確認を取る。三上が復帰したことは昨日公式サイトにも掲載されていたから、すでに沢山の予約の問い合わせが入っていた。


 お店の前にはまだ女性が集結している。開店間際になり、みかねた鳴海店長が予約客ではない女性達に退散するように促した。


 鶴の一声ならぬ、鳴海店長の一声で女性達は蜘蛛の子を散らすように消える。


「やれやれ、先が思いやられるぜ。それに、せっかく俺らが圧勝だったのに、誰が書き込んだんだよ」


 俺らが圧勝?


「本当だよね、賭けの勝敗さっさと決着つけとけば良かったね」


 賭けの勝敗?


 決着?


「類の負けは決まってた。お前、ビアガーデンでいいから、奢れよ」


 なんだ、その話?

 奢ればいいんでしょ。


「散々迷惑かけたから、今回は俺がクラブに招待するよ」


 救世主、三上の言葉に香坂と諸星がニンマリ笑い、鳴海店長が口角を引き上げた。

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