【13】美男は危険を犯して楽しむもの

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 ◇


「一体誰が公式サイトに書き込みしたのかな」


「さぁな」


 ドアの外で声がし、私と三上は離れる。私はロッカーから制服を取り出し、自分専用の脱衣スペースの中に隠れた。


 ロッカールームのドアが開き、ドカドカと足音がする。


「ごめん、みんな。まだ何も出来てないんだ。急いで掃除するから」


「店の前に女子が集結してたから、もしかして彼女達に捕まったの?」


「そうなんだよ」


 諸星の問いに三上は正直に答えている。


「それでどうした」


「鳴海店長、類が女性だということは、何も問題ないと答えました。アシスタントだし、指名は受けてないし、本部も了承済み。俺達はお客様に類が男だと偽ったわけではない。ですが、公式サイトの『スタッフは全員美男』だという宣伝文句は削除した方がいいかもしれません」


「そうだな」


「波瑠さん、違うよ。僕はそんなことは聞いていない。問題は波瑠さんと類が店内でキスをしたかどうかだ」


 穏やかで普段は可愛い口調の諸星が、いつになく語気を荒げている。


「どうしたの。捺希らしくないね」


「誤魔化さないで下さい。職場でキスだなんて、有り得ないですよね。鳴海店長もそう思うでしょう」


「当たり前だ。社内恋愛は自由だが、店内での情事が事実ならば本部も黙っていないだろう。波瑠はヘアメイクアーティストとしての実績もあり復帰したばかりだ。処分は免れるかもしれないが、類は商品部は愚か解雇されてしまうかもしれないな」


 えぇー……!


 私は……不祥事で解雇!?


「地下の倉庫に左遷したくらいでは、許してもらえないかもな」


 香坂の意地悪な声が響く。


 制服を着用してはいるが、この狭いスペースから出るに出れない。


「類、着替えたんだろう。さっさと開店準備しろ」


 香坂の声に、観念してカーテンを開いた。

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