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「蓮さん……すみませんでした」


「わかってるだろうな」


「へ?」


「借金十五万」


「はい……すみません」


 忘れてた。賞金が取れなかったから、借金チャラに出来ないんだ。


「あのドレス、蓮さんのデザインだよ。明らかに違反だよね。盗作だよ、審査員に訴えようよ」


「捺希、余計なことはしなくていい。敗けは敗けだ。想定できなかった俺が甘かったんだよ」


「蓮さん」


「それより、鳴海店長、波瑠は?」


「急用ができて、来れないと連絡があった」


「波瑠が来ないなんて珍しいな。鳴海店長、最近波瑠の様子変だよな」


 鳴海店長と香坂は、三上の話をしているが、私はショーでの失敗から立ち直れない。


 その日、ショーに惨敗してしまったbeautiful magic。鳴海店長はショーのあとbeautiful lineの代表取締役社長から『制服をアレンジし観客を魅了したことは評価する。斬新ではあったが、ランウェイで転倒し観客やネット配信の視聴者にみっともない姿を見せるとは言語道断』だと直々に厳重注意を受けた。


 シェアハウスでの祝勝会は、残念会へと変わる。諸星が冷蔵庫から缶ビールを取り出しみんなに配った。


「はい、類。今日は飲んでいいよ。僕が介抱してあげる」


「捺希さん……」


「バーカ、ショーで失敗し、酒飲んでワァーワァー泣かれたらたまったもんじゃない」


 香坂は諸星がくれた缶ビールを奪い取り、栓を開けぐびぐびと飲み干す。


 意気消沈する私に、鳴海店長がトドメをさす。


「入賞逃したから、予算も減るな。売上でカバーするしかない」


「すみません。ふ、ふぇ……」


 お酒を飲んでいないのに、すでに泣きそうだ。


「大丈夫だよ、類。僕達も頑張るから」

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