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「捺希、類を甘やかすな。失敗は失敗だ。あそこで派手にコケたお前が悪い。しかもショートパンツを引き裂き、視聴者にベージュのショーツを見せたんだ。もっとセクシーなショーツ穿けないのかよ。代表取締役社長が怒って当然だよ。ショーをぶち壊しにしたんだからな。しかも、生放送でネット配信だぜ」
わかってるよ。
まじでへこむ。
私だって、見せたくて見せたわけじゃない。
「しかし……波瑠さん遅いね。どこ行ったんだろう」
諸星がサラリと話題を変える。時刻はすでに零時近い。
玄関でガチャンと小さな音がした。三上の足音が近付く。
リビングに入って来た三上は、手に真紅の薔薇の花束を持っている。
顔は満面の笑みだ。
「みんな、お疲れ様。類、グランプリおめでとう。綺麗だったよ」
三上は私に花束を差し出した。みんなはポカンと口を開け、三上を見上げた。
グランプリだなんて……。
ブラックジョーク?
それとも……
私の醜態のせいで惨敗したことを知らないの!?
みんなの表情を見て、三上はシマッタという顔をした。
「もしかして、観てないのか? お前……酔ってるな」
香坂の言葉に、三上は観念したように口角を引き上げた。
「酔ってるよ。連勝すると思ったから、ショーもネット配信も観てない」
「お前、いつからそんないい加減なヤツになったんだよ!」
「すまない。無神経なことをしたようだな。謝るよ」
「波瑠、そこに座れ」
鳴海店長に言われ、三上は渋々椅子に座った。
「ヘアメイク&ファッションショーはbeautiful line主催の大きなイベントだ。これは仕事だ。休むからにはそれなりの理由があるんだろうな」
鳴海店長の言葉に、香坂が茶々を入れる。
「どうせ女だろ。波瑠、最近飲み歩いているよな。銀座のホステスに入れあげてるのか?」
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