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 私は香坂から逃げるように、部屋に飛び込む。シャワーを浴びるために、下着とスウェットスーツとバスローブを袋に押し込む。


 香坂や二階の住人は脱衣所の棚に平気で下着やパジャマを置いているけど、私は彼らみたいに棚にむき出しに置くわけにはいかず、毎日入浴のたびに銭湯に行くみたいに入浴セットを持ち歩く。


「蓮さん、お風呂と洗濯機使います」


「おう」


 私より先に浴室を使った香坂は、そのまま自分の部屋に入った。


 鳴海店長はソファーで眠っている。


 私は脱衣所に入り、洋服を脱ぎ洗濯機の中に入れた。香坂の洋服や下着も脱衣所の篭に入っていたが、それは見なかったことにする。


 洗濯に失敗し、これ以上香坂に借金を増やしたくないから。


 アイツのことだ、悪代官みたいに『カラダで返せ』とか、言いかねない。


 浴室に入りシャワーを浴びる。シャワーの温度設定は四十一度。これは香坂が設定したものだ。


 一日の疲れをシャワーで流す。浴槽にお湯をためている間に、シャンプーとトリートメントをした。


 体を綺麗に洗いシャワーで流し、浴槽に浸かる。


「極楽、極楽」


 ガタンと脱衣所のドアが開く音がした。誰かが脱衣所で洋服を脱ぎ始めた。


 一体誰!?


 鳴海店長は爆睡してるはず。


 私が使用していることを知った上での乱入!?


 絶対、香坂だ!

 あのケダモノ、私を襲う気!?


 ピンチ!大ピンチ!


 浴室にはバスタオルしかないよ。


 とりあえず、濡れた体に巻き付ける。


 ガタンと浴室のドアが音を鳴らした。


 ヤバい、ドアに鍵……!

 慌てて浴槽を飛び出した、と同時に浴室のドアが開いた。

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