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ドスンと大きな音がし、私は三上の上に倒れる。三上は床に仰向けに倒れ、頭を擦りながらケラケラ笑っている。
どうやら三上は、笑い上戸のようだ。
「ごめんなさい、波瑠さん大丈夫ですか?」
「あはは、大丈夫、大丈夫。類こそ大丈夫?」
「私は……大丈夫です」
三上の手が私の背中に回っているため、私は起き上がることが出来ない。
目と目が合って……
会話が途切れる。
三上の顔から笑顔が消えた。
「類、キスでも酔うか試してみる?」
「……ぇっ?」
「アルコールに弱い類。俺のキスでも酔うのかな」
冗談だよ……ね?
三上は次の瞬間、私の唇を奪った。
ほんのり……
ビールの味がした。
苦いはずのビールが……
なぜか甘く感じる。
目がトロンとしてきた。
ヤバい……私……酔ってる。
三上のキスで……
心も体も酔ってる。
三上は私に何度もキスを繰り返した。
「ふぇっ……波瑠さん……。どうして私にキスするん?」
「あはは、類、方言が出てるよ。キスでも酔うんだね」
三上はクスクスと楽しそうに笑ってる。笑い上戸の三上と、泣き上戸の私。
泣きながら私は、三上の胸の上にバタンと倒れた。
◇
「類、いつまで寝てるの。早く起きなよ。襲うよ」
え、え、襲う!?
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