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「そんな怖い顔するな。ますます色気ゼロだ」


「蓮さん、そんなキツいこと言わないの。類は乙女なんだから、傷ついちゃうよ」


「乙女ねぇ。女同士のキスってどんな感じ?」


 香坂の言葉に私より先にムッとしたのは、鳴海店長だった。


「蓮」


「鳴海店長すみません。だけどカンナさんの浮気相手が類なら安心じゃないですか。カンナさんは類が男だと思ってるみたいだけど、一応女ですから。彼女を奪われることはない」


 一応は余計だよ。


 香坂は鳴海店長の心の中に、土足でヅカヅカと入り込む。無神経だから、恋人にも逃げられるんだ。


「今日はもう部屋で休む」


 ほら、鳴海店長拗ねちゃったし。


「僕もシャワー浴びよう。類、おやすみ」


「おやすみなさい」


「俺も風呂入ろう」


 香坂もそのまま部屋に戻り、スウェットを手に脱衣所に入る。


「浴室先に取られちゃったな。あの二人風呂長いから、なかなか出て来ないよ」


 三上が笑いながら、冷蔵庫からビールを取り出す。


「波瑠さん、バーで飲んだのにまたビールですか?」


「飲み足りなくてね。俺、こう見えても酒は強いんだ」


 癒し系の三上、毎朝フルーツばかり食べている三上に、お酒は似合わない。


「意外って顔してるね。類一緒に飲む?」


 私はぶるぶると首を振る。

 私が飲むとどうなるか知ってるくせに、意地悪だな。

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