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 諸星は笑いながらロッカールームを出る。私も子鼠のようにあとに続く。


「波瑠さん。ありがとうございました」


「えっ? 何が?」


 私は掃除機を掴み、ロッカールームを飛び出した。急いで掃除機を掛け、モップで床掃除をする。


 諸星は店内の観葉植物に水をやり、テーブルやカウンターの上を丁寧に拭き掃除している。


 ロッカールームから出てきた三上は、もう美男のオーラを放っている。


 香坂はパソコンの前で、予約客のチェック。鳴海店長が入店し、開店前の緊張が高まる。


 今日はヘマしない。


 三上と視線が重なった。


 ――『自分が楽しまないと、いい仕事は出来ないからね』


 そうだ……。

 私が……楽しまないと、いい仕事は出来ない。


 開店前のミーティングを済ませ、今日もbeautiful magicの一日が始まる。


 次々とお客様は来店し、四人は昨日同様笑みを絶やさず接客している。


 今日も小池真理亜は来店している。勿論香坂が担当だ。香坂は小池の長い髪をトップと同じ高さでポニーテールを作り、コームで逆毛を立ててボリュームを出した。


 ポニーテールの毛先を一部わざと残し、お団子を作り、指で残してあった毛先を裂きバランスよく散らす。


 決めすぎない感じが逆に小池のセクシーさをかもし出す。


「今日はトークショーなの。鳴海店長、白いワンピースあるかしら?」


「小池様にピッタリのデザインが入荷してます。ケープつきのワンピースなら、シルエットが綺麗かと」


「試着してもいい?」


「勿論です」

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