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 香坂の言葉にも三上は動じない。ソファーからスッと立ち上がり、キッチンで珈琲を入れ私に差し出した。


「ありがとうございます」


 そして、同じように香坂にも珈琲を差し出す。


「サンキュー」


 三上の言葉に、癒された私。気持ちを切り替え今日も頑張ろう。


「波瑠、今日はどうかな」


 香坂が珈琲を飲みながら、私をチラッと見た。三上は冷蔵庫からレモンを取り出し皮ごとかじりついた。


「今日も気付かれないに、一票かな」


 ……ガーン。


 癒し系だと思ってたのに。

 優しいなって思ってたのに。

 どんなときも、味方だと思っていたのに。


 感動してウルウルしかけてたのに。

 全部全部撤回だ。


「おはよう~類!」


「きゃあ」


 諸星に突然抱き着かれ、私は悲鳴を上げる。いつの間に二階から降りたのよ。


「類、朝から色っぽい悲鳴を上げると、襲っちゃうよ」


 またまたご冗談を。


 諸星は私から離れると、三上の元に向かった。


「波瑠さん僕も珈琲もらっていい?」


「いいよ」


 トントンと足音がし、鳴海店長が二階から降りてくる。


 私は思わずソファーから立ち上がり直立不動。


「類、さっさと開店準備」


「はい。波瑠さん珈琲ご馳走さまでした。行ってきます」


「類、待ってよ。僕も行く」


 私と諸星はシェアハウスを出てbeautiful magicに向かう。店の鍵を開けロッカールームに向かうと、壁とロッカーの僅かな隙間に突っ張りポールでカーテンが取り付けられていた。

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