第11話 vsついてくる人

 俺はローナの指示通りに通路を進んでいく。

 タンスの向こうに続いていた通路は暗く、どこに繋がっているのか全く分からない。


 まったく、ランプがあって良かった……。


 因みにローナは、来たときは持ってたライターを使ったとか言ってたな……。

 用意周到すぎて流石としか言えない。


 恐らく頭もいいんだと思われる。


 まぁ、俺はいつの間にかいたから準備のしようがなかったし仕方ないよな!!

 ……多分普通に来ても持っては来なかったけど。


「あと三分の一ぐらいでこの通路から出られるはずだけど……」


「まだあと三分の一もあるのか!?」


 この屋敷どんな広さしてるんだよ…。


 そんなことを考えていたそのとき、不意に後ろから音が聞こえてきた。


 __ヒタ__


 __ヒタ、ヒタ__


 ……足音……?


 __うふ、ふふふふふふふ__


 少し早歩きをすると、足音も同じように早くなる。


 __ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ__


 __アハハハハハハハハハハハハハハハハ__


「ねぇ、これ……っ」


「あぁ!」


 これは……!


「俺たちの他にも迷い混んでいたやつがいたのか!迎えに行こう!」


「馬鹿なの!?!?!?

 早く逃げるわよ!!!」


 え……?


「もしも困ってるやつだったらどうするんだよ……」


「困ってるやつはあんな風に笑いながら近づいてこない!」


「いや、無言だと怖いかなと気を使っているのかも……」


「笑い方も思考も不気味すぎるでしょ!」


 仕方ない、じゃあ逃げるか。


「全速力よ!」


「全速力だな!分かった!


 あー、何故か靴を履いた状態で連れてこられてて……よかった!」


 __ヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタヒタ__


 __うふ、あは、アハハハハハハハハハハハハハハハハ!!__


「ブル○ン和馬してないでさっさと逃げる!

 足音と笑い声すごい大きくなってるから!!!」


「よし、じゃあ全速力で逃げるから舌噛まないようにな!」


「えっちょ」


 はははははははは!!!


 俺は!!今!!


 風になっている!!!!!!!!


 __アハハ、待ッt「あはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!!!!!!!


 楽しいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」


 やべーなんか滅茶苦茶早く走れるぅ!

 楽しー!!!!!


 お、何か向こう若干明るい!


「ヒャッハー!!!!!!

 あいむめっちゃ風!!!!!」



 そうして、ハイテンションのまま俺は見知らぬ部屋に到着した。



「ふぅー、楽しかった……。

 あ、ローナ!大丈夫か?」


「だいっ、じょゴホッ、なわけ……ないでしょ!!


 ハァ、ゲホッ、……ちょ、ちょっと待って……」


「お、おぉ。

 水飲むか?」


「水ここにないでしょうが……」


 何でこんなに疲れてるんだ……?


「ふぅ……。


 ……声をかけてから、走るのが、早い!!!!!」


「ヒェッ」


「胸ポケットの中に潜る時間もないから完全に風が全部私の顔にクリティカルヒットしてるわけ!分かる!?」


「ご、ごめん……」


「あと笑いながら走らないで!怖い!」


「はい……」


 滅茶苦茶怒ってるじゃん……。

 ごめんって……。


 ……あっ!!!


「今気づいたんだけど、もしかしてさっきの後ろからついてきてた人って……!」


「……どう考えてもそうでしょ。

 明らかにあれは怪奇現sh「俺のブ○ゾンにすごい笑ってくれてたよな!!」」


 なんていい人なんだ……!


「…………」


 あれ、ローナが黙った。

 まだ呼吸が整ってなかったのか?


「この脳内ミジンコ野郎が!!!!!!」


「えっ」

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