月の約束
那須梨
始まり
今日転校してくはずだった転校生。
その転校生とは幼馴染で、僕の初恋の相手だった。
二年前に転校していった幼馴染が帰ってくる。だから今日は最高の日になるんだろうと思っていた。
結果から言うと、最高の一日どころか最悪の一日になった。幼馴染は帰っては来なかった。
僕はその事実を受け入れることが出来なかった。いや、したくなかった。
それなのに何でこんなことになってしまったんだろう。
この日以来僕は神様が嫌いになった。
もう一度会いたい何度もそう願った。しかしそれは叶わない願い。
僕は目を閉じて幼馴染との思い出を思い返す。
その思い出はどれもとても楽しいものだった。なのに、どの思い出も僕の心を満たすことはなく、辛くするだけだった。
こんな思いをするくらいなら君との思い出なんてなかった方が良かった。そんなことすら考えてしまう。しかし今まで大切だった思い出を消すことなんて出来ない。
僕はこれからもずっと背負っていくことに怖さを感じた。
きっと僕は耐えられないだろう。
……。
…………、そうか。
あの日君と交わした約束。
それは今、僕を一番苦しめる存在。僕を作っているモノ。
もう果たせないどうでもいいことだ。
これを捨てれば僕は楽になれると直感で分かった。
きっとこれが正解なんだ。
少し楽になった気がした。
この日、僕は今までの僕を捨てた。
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