いつかの八月十五日

「じゃ、また」

 彼女は来年も来るのだ。

 いや、来年は私から行くのだ。

 そう念じながら、人混みに紛れていく後ろ姿に手を振る。

――ガタン、ゴトン、ガタン、ゴトン。

 列車がまた一台新たに入ってきて止まる音が響いてきた。

(了)

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お盆は天の家族を想う日 吾妻栄子 @gaoqiao412

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