本当の絆

もえ

第1話 時羽蒼空現る!

ある日、浜松学園中等部に時羽蒼空がやって来た。蒼空が教室に入った途端、女子達が騒ぎ始めた。その中でも1番吃驚していたのが、楓だった。

(なんで蒼空がこんな所にいるの!?)

蒼空と楓は幼馴染みであった。蒼空は、平然としながら楓に近寄った。

「楓、久しぶりだね。」

「ど、どうして蒼空がこんな所にいるの?」

「それは、君に会いたかったからだよ。」

周囲は愕然とし、女子達が騒いだ。休み時間になると、蒼空はクラスの皆から質問攻めになった。

「楓とどういう関係なの?」

「楓とは、幼馴染みなんだ。」

「ウソ!」

「ホントだよ。」

それから毎日、蒼空への質問攻めは収まらなかった。質問攻めが収まったと思った頃、楓への嫌がらせが始まった。嫌がらせの理由は、楓が蒼空と仲が良いから。嫌がらせが始まりしばらくした頃、楓は皆に問いかけた。

「どうしてこんなことするの?」

「理由が分からないの?w」

「分からないよ(泣)」

「あんたが蒼空君と仲が良いからだよ!」

「そんな....もうやめてよ。」

「なんで?」

「蒼空と仲良くするのやめるから....。」

しかし、嫌がらせは続いた。楓はぱったりと学校に来なくなった。蒼空は楓を心配して、楓の家に行った。楓の家は両親が共働きで、なかなか家に帰ってこない。インターホンを押しても誰も出てこないので不思議に思い、蒼空は楓の家のドアに手を掛けた。鍵は開いていて、中に入ってみると真っ暗だった。2階で物音がしたので階段を上り、楓の部屋に入ると、蒼空は驚愕した。なんと、楓が自殺を図っていたのだ。楓は意識が無い状態で、蒼空は救急車を呼び楓を縄から外した。通報してから救急車が来るまでの時間は約8分。楓の部屋で、自殺を図った理由を調べ始めた蒼空は、衝撃を受けた。部屋を漁っていたら、カッターで切り裂かれた体育服や、落書きされた上履き、落書きをして破られた教科書など、たくさんの物が出てきた。病院に、蒼空は行った—

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