第8話 図書館キャラクター

 このところ、あちこちの図書館で見受けられるようになった図書館キャラクター。

 最近では「図キャラ」なんて略される場合もあるそうだけれど、実は何を隠そう、うちの学校図書館でも作っている。

 

 このキャラクターに関しては、昨年度配置されることになってから、私から「どうでしょうかね、作ってみます?」と担当の先生にお声掛けをし、うまく実現したのだった。もちろん、図書館教育に積極的な先生だったからこそ実現したのだと思う。

 図書館イベントそのものについてはすでに少し書いたけれども、図書館キャラクターを作ること自体もまた、校内での有益なイベントのひとつになると思う。

 何より、生徒みんなに関わってもらえること、図書館そのものに関心や親近感を持ってもらえるようになるのが良い点だ。

 

 うちの場合は、まず生徒全員に「図書館キャラクターを作るので、よかったら原案を考えてくださいね」と図書委員を通じて呼びかけをし、専用の紙を渡して、みんなにキャラクター原案を考えてもらうところから始まった。

 生徒たちは意気込んで、自分なりに考えて絵を描いた紙をそれぞれ嬉しそうに図書館に持ってきては、用意しておいた専用のポストに投函してくれた。

 それを集め、最終的に図書委員が厳正な投票をおこなって図案を決めた。

 実はそのとき、英語の補助教員(この学校ではALTと呼ぶ)であるアメリカ人の先生も可愛いイラストを描いてくださった。それは「先生枠」ということにして、もう一案採用することにした。

 キャラクターに関しての活動としては、ここまでで一学期が終了した。


 その後、私は長い夏休みを使って(※私はほとんどお休みになった)、その原案をもとにキャラクターをデジタルイラストに起こした。もちろんカラーだ。

 本当は時間外労働になってしまうので(小説のほうも毎日更新を続けていたわけでもあるし・笑)やりたくはなかったというのが正直なところなのだが、いかんせん職場には、この目的のために使えるお絵描きソフトがなかったのだ。

 ちなみに私は「CLIP STUDIO (クリスタ)」使いである。


 とはいえベクター線をつかって、多少は形を整えつつも、もとの絵になるべく添う形で線を引き、アニメのようなバケツ塗りを中心にしただけなので、いつものイラストほど手間はかからなかった。使ったレイヤーも、せいぜい2枚とか3枚である。


 すでにご存じの方も多いと思うけれども、私はこれでも一応、昔は漫画を描いていた人間である。

 最近では少しずつデジタルで絵も描けるようになってきたし、実は中学と高校の美術教師の免許も持っていたりする。要するに、某大学の教育学部、美術科出身というわけだ(まあ、そのことは先生方には敢えて言わないでいるのだが)。


 ともあれそんなわけで、当時は板タブ(板状のタブレット)しかない環境だったけれども、私は自宅で生徒案のものをポーズ違いで二つと、先生案のものをひとつ、デジタルデータとして作成したのである。

 こうしておけば、これをこのまま図書館だよりやその他さまざまな図書館関連のプリントや飾り、お便りなどに流用できるわけだ。

 ちなみに、これらすべての著作権はうちの学校にあることになっている。著作権については一応、それぞれの生徒にも許可を得ている。


 さて、そうして二学期からは、ふたたび図書館イベントの一環として、学校全体でこのキャラクターに名前をつけることになった。

 またもや生徒たちに呼びかけをして紙を配布し、今度は「キャラクターの名前を考えてみてください」と募集をかけたわけである。

 子どもたちはまた、嬉しそうに紙を手にして、いそいそと図書館にやってきた。そして再び図書委員による厳正なる選考会を経て、キャラクターの名前が決定したのだ。


 じつはたまたまなのだけれど、キャラクターの原案も、その名前も、つい先日この学校から巣立っていった卒業生が考えたものだった。

 少し前、図書館での授業が行われたとき、名前を考えてくれた子が館内に掲示されているキャラクターを見て、


「この名前、私が考えたやつやねんで。この学校に爪痕のこせたわ~」


 と、友達と嬉しそうに話しているのが耳に入った。私はそれを、とてもほほえましい気持ちで聞いた。

 先生枠のキャラクターを考えてくださったALTの先生も、昨年9月にアメリカに帰国されてしまった。こうして少しずつ、この図書館に関わってくれた人はこの学校を去って行く。私自身も、いずれはここを去っていく。

 でも、みんながそれぞれに関わったキャラクターは、この学校図書館に残っていくのだ。そのことをとても嬉しく思う。


 今後もますます、全国で「図キャラ」を作成する図書館が増えていくことだろう。

 そこだけにいる唯一無二のキャラクターとともに、利用者のみなさんに愛される図書館がどんどん増えていくことを願ってやまない。

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